ケージ固定ストレス下における高血圧自然発症ラツト (SHR) , の血圧, 心拍数, 血中カテコラミンの変化と血圧, 心拍数に及ぼすα, αβ, β遮断薬の効果
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概要
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ストレスによる血圧, 心拍数反応及び血中カテコラミン (CA) の変動を経時的に追跡し, 更にこのストレス下の血圧, 心拍数反応に対する交感神経α遮断薬, β遮断薬による抑制効果を検討することにより, 交感神経機能の関与の一端をうかがわんとし, 16週のSHRとWRを用い, 爽圧固定ストレス負荷法により, ストレス下における血圧, 心拍数反応及び薬剤の影響を検討した.1) 薬剤未処置群では, ストレス負荷後SHRの血圧は15分迄, WRは30分迄変化を認めなかったが, その後上昇し, SHRではストレス開始後58.1±4.4分に最大108±10.2mmHgの昇圧をみたのに比し, WRは72.5±4.6分後に最大76.2±5.1mmHgの昇圧をみたにすぎず, 両者に有意差を認めた.またSHRはWRに比し, 最大昇圧到達時間は有意に短かかった.心拍数の最大増加度およびその到達時間は, SHRとWRに有意差を認めなかった.2) ストレス負荷前, 負荷後15分, 60分において断頭採血し, 血中ノルエピネフリン (NE) , エヒ.ネフリン (E) を測定した所, SHR, WRともにNEは負荷前に比し負荷60分後に減少傾向を認め, Eは負荷15分で増加傾向を, 負荷60分で減少するもなおストレス負荷前に比し増加傾向を認めた.3) プロプラノロール (P) 1mg/kg, 10mg/kg, プラゾシン (pz) 0.1mg/Kg, 0.5mg/kg, ラベタロール (L) 1mglkg, 10mg/kgの腹腔内投与によるストレス下の血圧, 心拍数変化に対する影響をみた.PはSHR, WRの非ストレス下の血圧を変化させず, またストレス昇圧を有意には抑制しなかった.しかし心拍数の上昇を有意に抑制し, その抑制度はSHRが大であった.4) Pzは非ストレス時のSHRの血圧を有意に下降させ, またストレス負荷によるWR, SHRの昇圧を, 大量使用時においてのみ有意に抑制した.5) L投与下のストレスによる心拍数変動はPに近く, 血圧変動はPzに近い効果を示したが, 検討した用量では変化の程度は小であった.6) 今回のストレス負荷法によれば, ストレス負荷の初期に血圧上昇, 心拍数増加を示さない無反応期があること, β-receptorの阻害は, 非ストレス下の血圧のみならず, ストレス昇圧の抑制に対しても効果を示さないこと, α1-receptorの阻害は, SHRの非ストレス時の血圧を降下させるのみならず, WR, SHRのストレス昇圧の抑制をもたらすことが明らかにされ, ストレス負荷による血中CAの変動は, 血圧の変化と時相的には必ずしも平行しないことが示唆された.
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