シスプラチン腹腔内投与法における薬物吸収経路の解析:―特に希釈溶液量の差異による影響について―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
シスプラチン (cisplatinum; CDDP) の腹腔内投与法における希釈溶液量による吸収経路への影響について犬を使用し実験的に検討した.実験方法はCDDP2mg/kgを希釈溶液量によってA群: 5頭 (生理食塩水100mlに希釈) , B群: 5頭 (生理食塩水200mlに希釈) の2群に分けた.CDDP腹腔内注入は16-gauge catheterからbolus投与した後, 門脈血, 末梢血ならびに肝組織内CDDP濃度を測定した.その結果, 1) A群の門脈皿Tota1, free-CDDP濃度はB群に比較して有意 (p<0.05) に高値を示した.2) A群の末梢血Total, free-CDDP濃度はB群よりも有意 (p<0.05) に低値であった.3) AUCからも1) , 2) の成績が裏付けられた.4) 肝組織内CDDP濃度は, A群で有意 (p<0.05) に高値を示した.以上の結果から, 高濃度CDDP腹腔内投与法は, CDDPを門脈系へと促進吸収させ標的臓器への有効な投与法であると考えられた.
- 昭和大学・昭和医学会の論文
昭和大学・昭和医学会 | 論文
- 病理検体(ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片)を用いた感染症遺伝子診断:結核菌Mycobacterium tuberculosis
- リンパ形質細胞性リンパ腫 / Waldenströmマクログロブリン血症
- 大学での30年間を振り返り
- 摂食・嚥下障害のリハビリテーションその包括的対応
- 原発性肝癌肝切除後の根治的治療不能残肝再発例に対するCDDP+5-FUによる肝動注療法の経験 : ―静止療法としての抗腫瘍効果と副作用―