ヘムタンパク質の凍結安定性に及ぼす糖類の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
糖類による凍結Hbの変性沈殿量,誘導形態,酸素親和性の生理機能に及ぼす影響を試験した.<BR>凝固沈殿量はシークロース,グリセロール,トレハロースとも0.4%以上の添加で,凍結期間7ヵ月の長期においても,認められなかった.0.2%添加で,わずかに沈殿が認められたが,糖無添加の3.6%に比べて著しく低かった.<BR>メト化抑制効果はシュクロース,グリセロールでほぼ同等であった.その効果は糖濃度と正の相関であった.7カ月の長期冷凍において,metHbの生成量は無添加で51%,1.6%添加で8%以下,6%添加で4%以下であった.トレハロースは1.6〜3%添加のとき,metHbの生成量が最小になった.<BR>冷凍によって,糖濃度が低いほどHbの酸素平衡曲線はシグモイド型から双曲線型へ移行した.シェクロース,グリセロール,トレハロース添加によりメト化が抑制されたHbのHill定数は新鮮Hbの値3に保持され,生理機能の安定性が認められた.無添加でのHill定数は7カ月間で約1.4に低下し,P<SUB>50</SUB>は4.2Torrとなり,低pO<SUB>2</SUB>下での酸素親和性の増加が認められた.糖による安定化の機構は糖がペプチド表面の水分子と選択的に結合して擬似水和層を形成することによってペプチドの高次構造を安定化し,ヘムタンパク質の酸化を防止することが示唆された.
論文 | ランダム
- ニホンザルの個体群管理―何から始めるべきか―
- 「保存再生工学」から見た土木遺産 (特集 地域を活かす土木遺産--甦るわが街のシンボル)
- フェニルゲルマン誘導体の紫外吸収スペクトル
- テトラフェニルゲルマンおよびその誘導体と臭素との反応
- テトラフェニルゲルマン誘導体の合成