低侵襲歯肉結合組織移植術のサルを用いた病理組織学的観考
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概要
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本研究の目的は, 我々の考案した新しい歯肉結合組織移植術について, サルを用いて手術後の臨床的ならびに病理組織学的観察を行って評価することである。術式は, まず14ゲージ吸上針の先端をシャープニングした歯肉採取器を用いて, 供給側の口蓋部から歯肉結合組織を採取し, 受容側の歯肉歯槽粘膜境部にメスで小切開を加えた後, 18ゲージ注射針を用いてトンネル状の移植床を形成し, 採取した歯肉結合組織を挿入し, 小切開部を縫合する。<BR>本術式を用いて, カニクイザル2頭の上下顎唇側歯肉歯槽粘膜境8部位に移植実験を行い, 2部位は対照群として移植は行わず, 12週にわたって臨床的, 病理組織学的に観察した。その結果,<BR>(1) 手術手技は従来の術式に比べて簡単で, 短時間で終わった。出血もわずかであり, 術後の経過も良好であった。 (2) 臨床的観察では, 術後12週には角化歯肉, 付着歯肉とも術前にくらべて有意に増加した。<BR>(3) 病理組織学的観察では, 移植片は術後1, 2週では疎なコラーゲン線維に囲まれていたが, 術後12週では移植片の周囲組織は密な線維組織に変化し, 歯槽骨と強く付着した付着歯肉となり, 上皮の角化は充進し角化歯肉の特徴を呈していた。<BR>臨床的ならびに病理組織学的観察から, 新術式は従来の上皮下結合組織移植術等の歯肉歯槽粘膜手術に比較して外科的侵襲が少なく, 角化歯肉と付着歯肉を獲得でき, 歯肉の再建に有効な方法であることが判明した。また, 採取した移植片中には上皮が存在したので, 上皮の存在しない術式の改良法についても考察した。
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