溶融・乾式紡糸の理論的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
紡糸過程で起こっている現象はせんじつめていえば物質(溶融紡糸では高分子1成分,乾式紡糸では高分子と溶剤の2成分,湿式紡糸では一般に多成分),運動量およびエネルギーの輸送である.しかし,いわゆる微少体積要素についてこれらの現象量の収支関係を考えて導いた式(拡散方程式,熱伝導方程式など)に,紡糸条件と計算に必要な物性値を与えて解こうとしてもすぐに行きづまってしまうことに気がつく.それは紡糸の問題は自由境界問題に属し,式を解くのに必要な境界条件があらかじめ分かっている問題ではないからである.境界条件に相当する界面移動量は問題を解きながら求めていくべき性質のものである.このようなむずかしさは,乾式紡糸において溶剤の乾燥を考えるときに明確に意識され,解決案が示された.本稿はこの問題を底流として話が進められる.
- 社団法人 高分子学会の論文