画像上, 中葉症候群を呈した肺<I>Mycobacterium avium</I> complex症の病理所見 : 発症様式の異なる2症例の報告
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概要
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画像上, 中葉症候群を呈する肺MAC症2切除症例の発症機序を病理組織学的に検討した。第1例は以前より血痰を主訴とする60歳の女性で, 若年時に気管支拡張症を指摘されていた。切除肺は肉眼的に萎縮硬化性でその中に円柱状の気管支拡張症が認められた。類上皮細胞肉芽腫は線維化した気管支壁に認められたが, 肺実質には全く認められなかった。これらの所見は若年時から存在する非特異的な気管支拡張症に二次的にMAC感染が起こった病変であることを示唆していた。第2例は血痰を繰り返す55歳の女性で, 肺結核症と診断されて抗結核薬投与を受けたが改善を認めず, 外来にて経過観察となっていたが, しばしばMACが検出されていた。切除肺の肺実質にはリンパ球浸潤を伴った類上皮細胞肉芽腫が散見された。類上皮細胞肉芽腫は中枢側気管支粘膜にも認められた。この症例では末梢肺組織の肺MAC病変から始まり, 所属気管支へ進展し, 中枢側気管支拡張症へと形成する過程が考えられた。以上より非特異的な気管支拡張症に二次的にMAC病変が形成されるものと, MACの肺病変に伴って気管支拡張症が形成されるものと両者が存在するものと思われた。