多剤耐性結核の耐性化過程の検討
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概要
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[目的] 多剤耐性結核症例の耐性化の過程を検討する。 [方法と対象] 1990年1月から2003年8月までに結核予防会複十字病院で多剤耐性結核として診療を受けた159症例の耐性化の過程を, レトロスペクティブに診療録より検討した。 [結果] 耐性化の過程が判明した者は83例で, 耐性菌感染例が48例, 耐性獲得例が35例であった。耐性獲得例については, ヒドラジド (H) リファンピシン (R) 感受性例からの多剤耐性化は12症例, H耐性R感受性例からの多剤耐性化例は18例, H感受性R耐性例からの多剤耐性化例は2例, H感受性不明R感受性と思われる例からの耐性化が3例であった。H耐性R感受性結核からの耐性化例では標準治療で開始している者が多かったが, H耐性であるとの感受性情報をもとにした治療開始後3カ月以内の治療変更は6例のみでそのうち標準治療症例での治療開始後2カ月以内の薬剤追加は1例のみであった。HまたはRの1剤耐性からの耐性獲得例20例中4例に不規則内服治療中断歴が見られた。耐性化の過程が判明しなかった76例中, 1970年以前の治療歴しかなくR使用歴がないと思われる者が7例, それ以外で耐性化の過程が判明しなかった者が69例であったが, 69例のうち15例で多剤耐性と確認されるまでに不規則内服治療中断歴が見られた。多剤耐性化後の治療では, 1剤追加が多数見られ, 耐性薬剤数を増やしていた。 [考察] 耐性菌感染に対する対策が必要である。耐性獲得例の中ではH耐性R感受性からの多剤耐性化例が多く, 治療開始時の薬剤感受性検査の把握, 治療開始時のレジメンの考慮および薬剤感受性検査の速やかな実施と耐性とわかった時の速やかな対応が必要である。耐性化過程不明例では治療中断不規則内服が多く, 薬剤感受性検査情報が不十分な症例が多い医療機関に対しては保健所からの介入強化が必要と思われた。
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