化膿性脊椎炎における透析患者の検討
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概要
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【目的】化膿性脊椎炎は高齢者やcompromised hostでの発症例が多く,症例数自体も増加の一途にある.近年特に透析患者での報告が散見されるに至っている.透析患者における化膿性脊椎炎の動向を明らかにするため,当院で化膿性脊椎炎と診断された一般患者集団において,透析患者を中心に比較検討した.【方法】2003年10月から2008年10月までの5年間に当院整形外科で化膿性脊椎炎と診断され治療がなされた患者27名[男22名,女5名,平均年齢±標準偏差:66±12歳(最低年齢49歳,最高年齢89歳)]を対象とし,年齢,基礎疾患,発症背景,罹患部位,起因菌,膿瘍合併有無,治療法などに関して後ろ向きに検討した.この集団に含まれた透析患者群と一般患者群について各調査項目を比較検討することで,本疾患における透析患者に特徴的な傾向を把握するとともに,基礎疾患として占める割合の検討も行った.【結果】27例中透析患者は5例(18.5%)であった.5例中3例は穿刺部感染,カテーテル感染,人工血管手術後などの菌血症後に発症しており,残り2例は腰椎手術後の局所感染であった.発症年齢は非透析患者で平均年齢±標準偏差は68±11歳(最低年齢49歳,最高年齢89歳)であったのに対し,透析患者では平均56±7歳(最低年齢49歳,最高年齢68歳)とより若年で発症する傾向にあった(p value:0.020).症例全体のうち起因菌が判明したものは15例あり,MRSAを含めたブドウ球菌群は10例(67%)を占め最多であった.【結論】透析患者の罹患率は高く,より若年で発症する傾向にあることが示された.発熱・腰痛を呈する透析患者の鑑別診断として,疾患の重要性を再認識する結果であった.
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