カラマツ産地試験の長野県内試験地における産地の特性評価と地域区分
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概要
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天然分布域内の9地域, 各地域内1から6産地, 計25産地から構成される長野県内の約30年生のカラマツ産地試験地4カ所のデータを解析し, 分散分析と主成分分析から, これまでの産地と地域区分の妥当性を検討した。樹高, 胸高直径, 枝太さ, 枝長さ, 落枝性では全ての試験地で産地間差が有意であったが, 幹曲がりと枝角度は一部の試験地でのみ産地間差が有意であった。特に主要な形質である樹高と胸高直径についての産地間分散の寄与率は, 各々25∼60%, 39∼61%と大きく, 材積の向上に産地選択の効果が大きいことが明らかになった。産地と試験地との交互作用は多くの形質で認められたが, 産地の効果も大きく, 複数の試験地を通して成長の良い産地も確認された。試験地ごとに複数の形質を因子として行った主成分分析により, 日光地域の3産地, 富士山地域の3産地, 北アルプス地域の2産地が各々の地域内でよく近接した。また, 比較的近接するものとして, 八ヶ岳地域の6産地, 木曽地域の3産地が区分された。しかし, 蓮華岳は他の北アルプス地域の産地とは極端に離れて位置し, 南アルプス地域の2産地も主成分分析では近接しなかった。さらに, 浅間山地域の産地は2分され, 水ノ登下部は草津万座と新たな区分を形成することが適切と考えられた。