歯科学生の医の倫理観に関する研究 : 第一報 質問紙法による調査結果について
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概要
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近来, 歯科医療に関する医の倫理観に対しての批判が, マス・コミによって多くとりあげられている。このことから著者らは, 歯科学生および歯科医師に対し, 医の倫理観についての意識調査を行い, その結果から, 歯科学生を教育する上に, いくらかでも社会に還元しようとした。それ故, 昭和51年9月から昭和55年3月までの期間をかけて, 6項目からなる意識調査票を作成し, 8校 (国公立5校, 私立3校) について, 集団面接を行った。また歯科医師については, 9項日からなる調査票を作成し, 郵送法による調査を実施した。<BR>その結果, 調査集計可能枚数は歯科学生については, 2022枚, 歯科医師は484枚であった。質問項目についてみると, 医の倫理についての講義の聴講は, 歯科学生の約70%, 歯科医師は約64%を占めており, その科目をみると歯科学生は「歯学概論」が最多で52.8%を占めた。医は仁術の仁についての意味は, 人命を救う博愛の道であると答えたのが54.3%で最も多くみられた。医師の理想像については, 「わからない」が36.3%で最も多くを占めたが, 私立よりも国公立の学生に非常に多く, 学生間では特徴があるように観察された。医の倫理に関する本は読んだことがないと答えた者が, 49.5%もあり, しかも国公立の学生に多くみられた。歯科医として最も不適当と思われるものについては, 「技術も探求心もない」が最も多く, 49.3%を占め学生間では国公立の学生に多くみられた。歯科学生の入学動機をみると, 「将来の生活が保証されるから」が24.0%で最も多い割合を占めたが, 「なんとなく」「医学部に入学できなかったから」が学生問で大きな特徴がみられ, 国公立の学生にその割合が高かった。また歯科医師は, 医の倫理の講義の必要性については90%以上が必要であると答えており, その半数近くが「特定の科目でなくどの科目の中にも入れること」を主張していた。さらに医の倫理の講義を聴講させるとしたら5年生位がよいと思う歯科医師が25.5%で最も多かった。<BR>以上のことから, 医の倫理の講義は, 現在の歯学教育においては絶対必要であり, 入学時と臨床実習に入る直前に聴講させることがよいように思われる。また入学動機の学生間の差については, さらに深く追究し, 検討していかなければならない課題と推察された。
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