低フッ素累代飼育のラットに及ぼす影響 : とくにフッ素の離乳仔への移行について
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概要
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低フッ素基礎飼料 (F0.45ppm) を与えながらF濃度それぞれ0, 0.5, 1, 10および50ppmの飲用群をつくり, Sprague-Dawley系雌雄ラットを2代にわたり飼育して, 体重, 血球数, 血清ALP, GOT, 出産率, 哺育率を比較した。さらに0および10ppmの2レベルは3代まで観察を続行した。また硬組織のF濃度を最新のFイオン電極法で測定し, 世代の問, 親仔の間のF濃度の推移を追求した。その結果は, 体重の増加の抑制が50ppmおよび第2代の10ppm群にみられた以外は血球数, 血清酵素などについてF投与レベル問に有意の差を認めなかった。第1代雄成育仔の組織F濃度は, 大腿骨14.1, 切歯15.1ppmまで低下したが (市販固形飼料飼育のそれぞれ3%および9%の低値) その仔, すなわち第2代生育仔との間には有意の差を認めなかつた。世代を重ねても組織濃度が低下しない原因は, 試作飼料の除Fが十分でなく, 離乳後飼料より摂取したFが蓄積して, 一定期間後は, ほぼ同一水準に達するためと考えられる. F投与群は飲用F濃度に比例して有意の体内蓄積を示すが, 投与Fレベル0〜1ppmの範囲では離乳仔の骨濃度は常に9〜10ppmに止り, 胎盤, 乳腺に生理的barrierがあることを示す。しかし10ppmより高レベルでは, 仔の硬組織濃度は親の10%を保持するが, 移行した絶対値は投与量に比例して当然高くなり, 単なる物理化学的濾過に止まると考えられる。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文