ケモレオロジー的手法による加硫ゴムの架橋点間重合度分布の簡易迅速決定法の研究 (1)
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概要
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架橋高分子の架橋点間重合度分布を測定する方法は, 架橋高分子が溶剤に対して不溶であり, 高温に対しても不融などの諸理由のため, まだ成功していない. 本報告ではケモレオロジーという新手法によって測定が可能となった研究結果について述べる. 架橋点間重合度がxである網状高分子鎖の場合, 次式が成立する.nx(t)=nx(0)•e-xkt (1)qm,x(t)=x•nx(0)•k•t (2)ここでn(0): 劣化前単位体積中の網状高分子鎖の個数又はモル数. n(t): 劣化後t時間における上述の値.qm (t): 単位体積中の主鎖分子切断の個数, 又はモル数. x: 架橋点間重合度. k: 主鎖分子切断のさいの比例定数.さて, 効果的弾性鎖数の総量, n(t) は次式で表わされる.n(t)=∑<∞><x=1>nx(t)=∑<∞><x=1>nx(0)•e-xkt (3)p(x)=nx(0)/n(0) とおけば明らかにp(x) は, ここで求める架橋点間重合度分布を示す. それゆえ式 (3) の両辺をn(0) で割れば式 (4) が得られる.n(t)/n(0)=∑<∞><x=1>nx(0)/n(0)•e-xkt=∑<∞><x=1>p(x)•e-xkt (4)式 (4) をもっと一般化すると,n(t)/n(0)=∫∞0p(x)•e-xktdx (5)最近, 我々によって次式 (6) の結果が得られている.n(t)/n(0)={1+(f(0)/f(t)-1)/(B/n(0)+1)}-1 (6)ここでBは高分子の種類にのみ依存する定数. DCP加硫天然ゴムの化学緩和により実験データ, f(t)/f(0) (相対応力) を得, 式 (6), (5) より Laplace 変換などを用いて, 目的とするp(x) が, 異なった劣化条件下にも拘わらず, 一定試料では一定のp(x) として得られることが見出された.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文
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