有機加硫促進剤中のイオウと元素イオウとの交換反応について (その3) : 加硫促進機構に関する研究 (第3報)
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概要
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本報では有機加硫促進剤ジンクジメチルジチオカーバメート (PZ) と元素イオウとの交換反応について, トレーサーとしてS<SUP>35</SUP>およびZn<SUP>65</SUP>を用いて, キシレン溶液中にて種々の反応を行ない, その交換機構を推定し, そのさいPZの熱分解によるZnS生成反応についてしらべた.PZのキシレン溶液を加熱すると, 微量のZnSしか生成しないが, Sが存在するとZnS生成量は増大する.ZnS生成量はSが存在する場合でも, PZの約2%以下であるのでPZとSの交換反応の副反応とみなされる.PZと放射性テトラメチルチウラムジサルファイド (TT) とはきわめて短時間で交換平衡に達すること, PZとS<SUP>*</SUP>との交換反応においてPZの予熱の影響は認められないことなどより, PZ分子中のS-Zn結合は熱によりラジカル解離をおこし, すばやく平衡状態になるものとみられる.また反応初期におけるPZとS<SUP>*</SUP>との交換反応速度は, S<SUP>*</SUP>の初濃度に比例し, PZの初濃度についてはその約1/2乗に比例する.TTを添加してやると交換反応速度は著るしく大きくなる。これらの事実からPZとSの交換反応は, PZの熱解離によって生成したT・がS*<SUB>8</SUB>との交換に関与するものと推定し, その交換機構を考察した.PZがS<SUB>8</SUB>環状構造を開環して, イオウを活性化させるのはPZの熱解離によって生じたT・とTZn・とによると考えられる.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文
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