シイタケの炭水化物の栄養価値に関する研究
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概要
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(1) シイタケの炭水化物は大部分がいわゆるヘミセルローズであるが,炭水化物のシロネズミにおける消化率は約80%で,比較的大きいことを認めた. (2) 3種のシイタケヘミセルローズ,すなわちA(冷アルカリ可溶性), B(温アルカリ可溶性), C(温アルカリ不溶性)を,それぞれシイタケ無水物に対して13.6%, 3.3%, 26.9%の収率で得た. (3) これらの3つのヘミセルローズは,酸あるいは酵素によって加水分解を受ける程度がそれぞれ相違していたが,特にカタツムリの消化管に存在するヘミセルラーゼの作用によって加水分解される程度がA>B>Cの順であった.また稀鉱酸で加熱加水分解した場合の加水分解率はAおよびBはほぼ等しかったが, Cはこれらと比較して幾分小さかった. (4) 各ヘミセルローズを構成する糖類の種類にも相違があり,硫酸加水分解液中に検出された糖類は,Aではグルコーズ,マンノーズ,キシローズ,ウロン酸, Bではグルコーズ,キシローズ,ウロン酸, Cではグルコーズ,キシローズであった.またいずれのヘミセルローズも,グルコーズを主構成分としていることが認められた. (5) これらの3種のヘミセルローズを絶食させたシロネズミに給与して,それらの同化利用性を澱粉の場合と比較検討した結果, Aが最も同化利用性が大きかったが,澱粉には及ばなかった. Bも利用されたが, Cは利用性が非常に小さかった.