X線ディフラクトメーターによる澱粉の研究 : (III) ヨード・ヨードカリ溶液による澱粉粒の崩壊について
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概要
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ヨード・ヨードカリ溶液とジャガイモ澱粉粒との反応をX線ディフラクトメーター及び光学顕微鏡で研究した.ヨード・ヨードカリ溶液は急速に澱粉粒の内部まで浸入し反応する. 澱粉粒はヨード吸着量が増加すると共に内部講造が破壊され,その際hilumから外層へ破壊が進展する. ヨード吸着澱粉粒をチオ硫酸ソーダ溶液で脱ヨードすると,ヨード吸着量の少ない間は可逆的に或いはある程度迄この分子配列を回復するが,多量のヨードを吸着すると脱ヨード操作によっても結晶性は回復せず,粒は冷チオ硫酸ソーダ溶液によって糊化する. これ等の事実からジャガ第7図 ヨード吸着試料及び脱ヨード試料の顕微鏡写真(×70)上:常光,下:ニコル偏光A:未処理ジャガイモ澱粉と吸着ヨード量0.83AAIの試料を混合したものB:実験Dの1時間後の試料(ヨード吸着量8.90AAI)を脱ヨードし,コンゴーレッドで染色したものC:実験Cの2時間後の試料(ヨード吸着量13.79AAI)を脱ヨードし,コンゴーレッドで染色したものD:試料B(ヨード吸着量18.40AAI)を脱ヨード後,コンゴーレッドで染色したものイモ澱粉粒は内部ほど分子の結晶性及び配向性が悪く,しかもヨード・ヨードカリ液溶によく染る成分が多い事が解った.従ってこの澱粉粒の外層部ほど結晶性の良いアミロペクチン分子が多いものと相像される.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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