ガスクロマトグラフィーによる本邦産牛乳脂肪の脂肪酸組成に関する研究(第5報) : 北海道及び東北地方のバター脂肪の脂肪酸組成とその季節的及び地理的変動について
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概要
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1961年4月より1962年3月までの1年間,北海道,東北両地方の乳製品工場10ヵ所から毎月1回収集したバターについて,乳脂肪の構成脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーによって定量した.バター脂肪は予め主要な特数を測定し,一方, KOH-メタノールを用いるinteresterificationによって脂肪酸メチルエステルとした.エステル化試料はセライト545-エチレングリコールコハク酸エステルを充填剤とする気体一液体クロマトグラフィーによって定量し,脂肪酸組成を決定した. バター脂肪の構成脂肪酸は北海道,東北両地方とも季節的に著しい変動を示し,飽和脂肪酸では特にパルミチン酸が19.94〜30.97%の変動があり,冬から夏にかけて低く,夏に多かった.パルミチン酸の年間平均値は北海道25.97%,東北24.63%で,北海道の方が多く,かつ季節的変動も大きかった.飽和酸の総平均値では,パルミチン酸に次いでステアリン酸,ミリスチン酸,酪酸,ラウリン酸が多い.不飽和脂肪酸では,オレイン酸の季節的変動が著しく, 25.54〜37.62%の範囲にあり,パルミチン酸と逆に夏に多く,冬に少なく,この傾向は必須脂肪酸でも見られた.オレイン酸の年間平均値は北海道31.76%,東化33.78%で,東北の方が大である.オレイン酸に次いで多い不飽和酸はリノール酸,パルミトオレイン酸であり,その他の飽和,不飽和酸を含めて季節的変動が若干認められた. バター脂肪の特数とそれに関係する脂肪酸定量値との季節的変動はよく一致し,両者の関係に検討を加えた.また,構成脂肪酸中,主要な成分であるオレイン酸,パルミチン酸,必須脂肪酸の変動についても検討を加え,バター脂肪の特性の一表示法として,オレイン酸/パルミチン酸の重量比(0-P比)及び不飽和酸/飽和酸の重量比(不飽和指数)を算出した. 0-P比は0.82〜1.82,平均1.30,不飽和指数は0.73〜1.29,平均0.89であり,ともに東北地方の方が北海道よりも高い値を示した.この表示法はバター脂肪を含めて,多くの天然脂肪の性質を示す指標として意義があろう. 全般的に北海道及び東北地方のバター脂肪は,諸外国のそれとほぼ同じ脂肪酸組成を示すが,低級酸含量がやや低く,パルミトオレイン酸(推定)及びリノール酸以上の高級不飽和酸がやや多く,かつ,パルミチン酸とオレイン酸以上の不飽和酸の季節的変動が外国のそれよりも大きい傾向を示した.
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