乳蛋白質のポーラログラフ的研究(第1報) : 人乳全カゼイン並びに牛乳全カゼインの差異について
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概要
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(1) 同条件下において,人乳全カゼインの蛋白波高は牛乳全力ゼインの蛋白波高よりも高く,蛋白質のシスチン,システィン含量と蛋白波高との間には比例関係がある. (2) 人乳全カゼインの蛋白波に対する塩化アンモニウム濃度,並びに電解湿度の影響は牛乳全カゼインとほぼ同様である.すなわち,塩化アンモニウム濃度0.10M以下では波高は増加するが,それ以上の濃度ではほぼ一定となる.また電解温度の上昇にともなって,第1波の波高は増加し,第2波は低下する. (3) 人乳全カゼインの蛋白波に対する蛋白質濃度,塩化コバルト濃度,並びにアンモニア濃度の影響は牛乳全カゼインとかなり相違する.すなわち,人乳全カゼインでは蛋白質濃度-波高曲線は等温吸着曲線様関係を示すが牛乳全カゼインでは蛋白質濃度0.0135mgN/mlで極大を示す.また塩化コバルト濃度およびアンモニア濃度をそれぞれ増加させた場合,人乳全カゼインの蛋白波高はいずれの場含もほぼ直線的に増加するが,牛乳全カゼインにおいては塩化コバルト濃度2.0×10-3Mあるいはアンモニア濃度0.75Mでほぼ限界に達する. (4) 人乳全カゼインの蛋白波に対する塩化カルシウム濃度の影響は牛乳全カゼインと著しく相違する.すなわち,人乳全カゼインでは塩化カルシウム濃度の増加にともなって,第1波,第2波ともに低下するが,牛乳全カゼインの第2波は,塩化カルシウム濃度2.5mMで極大を示し,それ以上の濃度では低下する. (5) 以上の実験結果から,人乳全カゼインと牛乳全カゼインの差異について考察した.
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