牛乳蛋白質の消化性の改善に関する研究 (第1報) : 牛乳の加熱,カルシウムイオン活性の調節,乳清蛋白質の添加,均質化および超遠心分離による粗大カゼイン区分除去の牛乳の 消化性,とくに凝固性に対する効果
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概要
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牛乳の消化性とくにその凝固性に対する加熱,カルシゥムイオン活性の調節,乳清蛋白質の添加,均質化ならびに超遠心分離による粗大カゼインミセルの除去の効果を検討し,次の成績を得た. (1) 牛乳を加熱することによって標準法カードテンションのみならず,生理学的カードテンションも減少する. (2) ヘキサメタ燐酸ナトリウムの添加によってカードテンションは減少するが,生理学的カードテンションは減少しなかった. (3) イオン交換によって牛乳のカルシウムイオンを除去し,それを用いて酵素による凝固性を試験した.その結果,カードテンションは減少し,レンネット凝固時間は延長するが,生理学的カードテンションに影響はなかった. (4) 生理学的カードテンションに対してカルシウムイオンは余り影響ないが,これは生理学的カードテンションは酵素凝固性のみでなく酸凝固性をも測定する値であるためである. (5) 乳清蛋白質を添加し,牛乳のカゼイン/非カゼイン蛋白比を人乳に近づけることにより,トリクロル酢酸可溶性蛋白量を人乳と同程度まで増加することができる. (6) 乳清蛋白質の添加により生理学的カードテンションも減少するが,これはカゼインの希釈によるものであって,カゼインの凝固性の根本的変化を意味しない. (7) 乳清蛋白質を添加した牛乳は消化試験の結果では,むしろ蛋白質の分解率は低下した. (8) 630kg/cm2までの均質化では,生理学的カードテンションに変化は認められなかった. (9) 牛乳を超遠心分離して粒子の大きいカゼインを除き,粒子の小さいカゼインのみ残すようにしたものを作ったが,生理学的カードテンションは減少しなかった.
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