納豆の成分について(第2報) : 納豆のオリゴサッカライドについて
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概要
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納豆のオリゴサッカライドA糖,B1糖, B2糖について研究した.また大豆のオリゴサッカライドの部分加水分解物中の糖は納豆のオリゴサッカライドと比較した結果,同じであることがわかった. A糖はグルコースとガラクトースが2:1の割合から成る三糖類, B1糖はガラクトースのみから成る二糖類, B2糖はグルコースとガラクトースが1:1から成る二糖類である.大豆の部分分解から得たA糖は融点,旋光度,過ヨウ素酸酸化の結果等がマンニノトリオースの文献値,理論値と一致した.納豆のA糖と大豆のA糖とはオサゾンやアセテート等の誘導体の性質,赤外部の吸収,酸や酵素に分解されるようすなどが同じであったので,両者は同種の糖でいずれもマンニノトリオースに近いと考えられる. B1糖は少量のため決定的なデータが得られなかったが,スタキオース(11, 15, 16)やA糖から一部が分解してできる物質であることから, α-1-6結合のガラクトビオースであると推定された.大豆のB2糖は融点,旋光度,過ヨウ素酸酸化の結果が,また納豆のB2糖の融点およびオサゾンの融点(混融点)がメリビオースと一致した.納豆のB2糖と大豆のB2糖は構成が同じであり,いずれもA糖から部分分解で得られるので, A糖のガラクトースが1分子とれてメリビオースができたものと考えられる.以上まとめて納豆のA糖, B1糖, B2糖は大豆のスタキオースから(B2糖の一部はラフィノースからもできる)フラクトースがとれ,さらにグルコースまたはガラクトースがとれてできたものであろうと考えられる.