植物ホルモンの蚕に対する成長促進効果
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概要
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ワカメ,コンブなどのメタノールエキスに蚕の生長を促進し,繭を大きくする効果のあることから検討を開始し,以下のような結果が得られた. (1)ワカメのメタノールエキスについてTLCを行った結果,数多くのインドール化合物が検出された. (2)生理活性のあるインドール化合物として広く知られているものにインドール酢酸があり,これを人工飼料に加えて飼育するとき稚蚕体重が増加することを見出した.インドール酢酸と同様植物ホルモンであるジベレリンにも増体効果が見出されたがカイネチンには見出されなかった. (3)インドール酢酸,ジベレリンの極微量(蚕1頭当り約1×10-5μg)をブドウ糖倍散とし,これを水に溶かして4齢2日目および3日目の給桑時にそれぞれ1回桑葉にスプレーして2葉とともに食下させた結果,繭重および繭層重を約10%増加させることができた.このときにもカイネチンには効果がみられなかった. (4)インドール酢酸,ジベレリンのブドウ糖倍散を水に溶かし, 4齢2日および3日目の給桑直前にそれぞれ1回ずつ蚕体に直接スプレーし経皮吸収を行わせることにより,繭重,繭層重を増加させることができた. (5)稚蚕人工飼育によりオーキシン類の類縁化合物であるオキシインドール酢酸,ジオキシフェニル酢酸などにも増体効果のあることを見出した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文