メラノイジンの調製および分画過程における高分子化について
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概要
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グリシンーグルコース系のメラノイジンの調製および分画過程における高分子化に及ぼすpHの影響を調べた. (1) グルコースとグリシンの混合溶液を加熱すると,加熱時間とともに,褐変度と分子量は増加し,pHは低下した. (2) 褐変溶液のpHが低いと,褐変度は小さいが分子量は大きく,pHが高いと,褐変度は大きいが分子量は小さかった.すなわち,高分子化はpFの低下と関連していることがわかった. (3) 脱イオン水で透析した非透析画分の分子量分布は,メラノイジンが酸性物質であるため,透析膜内のpHが低下し,pHを7に保ち透析したものより,高分子側に溶出された. (4) 本メラノイジンの等電沈殿点はpH 2.5にあるが,これを利用し高分子画分を得ると,等電沈殿を繰り返すごとに高分子化した. (5) 観察される高分子化は,反応熱が必要である点において,いわゆる凝集とは異なっていた(メラノイジンの沈殿は低温でも生成したが,高分子化は起きなかった). (6) pH 2.5 (PI)における高分子化を,酸素,光の影響を除去し,0〜50°Cで調べると,温度が高いほど反応が促進された. (7) 微量の酸素しか残存していないと考えられる系(5×10-4Torr)でも,高分子化の進行は停止しなかった. 以上から,グリシンーグルコース系のメラノイジンは,pH単独の作用で高分子化する性質があることがわかった.酸素の存在下で重合するものとは別の高分子化の機構があると思われる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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