ゲル化に及ぼす大豆タンパク質dopeの粘弾性挙動とSH基との関係
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概要
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大豆タンパク質のアルカリ変性による高次構造の変化とゲル化との関係を探るため,dopeの粘弾性挙動とSH基を測定し,次のような結果を得た. 大豆タンパク質dopeは,アルカリ量の増加に伴い,徐々に粘弾性値が増加し,pH 11付近で極大を示し,pH 11.5以上では急激に減少し始めた.一方,SH基は,アルカリ量増加とともに減少し,pH 11で極小を示し,pH 11.5以上で急激に増加した. また,dopeの粘弾性値とSH基量は,経時的な変化を示した.pH 11未満では,dope粘弾性値は経時的に増加するが,SH基量は減少した.pH 11.5以上のdopeでは,逆の現象を示した.そして,pH 11のdopeは,30分後最大値に達した後,ほぼ一定となった. 以上の結果から,大豆タンパク質は,アルカリによって解膠された分子が,徐々にからみ合いやS-S架橋などのクロスリンクを起こし,しだいにゲル化して,pH 11付近で最も強くしかも安定なゲルネットワークを形成する.さらに,pH 11.5以上になると,クロスリンク等の切断が起り,ネットワーク構造が急速に崩壊するということが判明した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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