振盪系における非透析性メラノイジンのゲルクロマトグラムパターン変化に及ぼす要因
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概要
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微生物を接種していない30°Cの好気振盪系で,グルコース-グリシン系の非透析性メラノイジンを処理し,そのゲルクロマトグラムパターンの変化を調べた. (1) 培地中でメラノイジンを振盪すると低分子側へ移行した. (2) 培地に用いた無機塩類はメラノイジンを低分子側へ移行させる作用をもたなかったが,培地のpHは大きな作用を示した. (3) 本メラノイジンの等電沈殿点およびpK値はそれぞれPH 2.5および3.5にあった. (4) pH 3.5付近を境界として,それより低いpHで振盪するとゲルクロマトグラムのピークは高分子側へ移行し,それより高いpHで振盪すると低分子側へ移行した. (5) 培地中でメラノィジンを振盪するとゲルクロマトグラムパターンの変化は振盪日数に対して緩やかに現れ, 2カ月間にわたって追跡した結果,低分子側への移行は進行し続けた. (6) 供試メラノイジンの会合の可能性は, 8M尿素および界面活性剤処理により検討した結果,見出せなかった. (7) 酸素の影響は,脱気した場合と比較し, pH 3.5付近を境界としてそれより低いpHではより高分子化を,それより高いpHではより低分子化させた. 以上から,メラノイジンのpKが3.5と低いため,培地(pH>3.5)は塩基の作用をする結果,振盪系においてはメラノイジンは塩基触媒による酸化的分解を受け低分子化すると推察した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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