市川,加古川における底質有機汚染状況とフマル酸からみた底質の分類
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概要
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河川の浄化機能は生物学的作用に依存する面が強く,通常有機汚染の表示法も生物学的概念を取り込んだBODを使用している.しかし,この表示法が単なる河川の汚染状況をみているにすぎず,浄化機能に関する概念は入っていない.市川と加古川において,有機汚染,重金属,微生物について,種々浄化機能の面から検討した結果を述べてきたが,これを要約すると次のようになる. (1) 一般細菌は,両河川の各測定地点で底質の有機物量と対応した関係がみられたが,阻害物質が共存する場所では酢酸資化菌の減少が認められ,浄化作用に対する影響が考えられた.(2)銅を阻害因子と考えた場合, 2ppm程度の濃度で阻害を生じることが分った.市川上流部の高濃度に金属が堆積している地帯での微生物による正常な資化現象は,悪影響をうけているものといえよう.そこで,(3)河川浄化機能では微生物の有機物資化速度が酵素活性に依存していることから,各地点での酵素活性に関与していると考えられる生成フマル酸で表示する方法を用い,一方,河床堆積有機物の表示として全炭素含有量を用いて,両者の相関から順流河川での浄化機能の区分を行なった.(4)順流河川においては4つの区分に分類することができ,酢酸資化菌分布と,河川の浄化機能または汚染負荷の度合などが考察でき,河川浄化機能の状況をさらに具体的に検討することができるものと考えられた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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