生成フマル酸からみた河川堆積物の生物的浄化作用の検討
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概要
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正常河川底質中における有機汚染に対する微生物の働きについて検討した.ここに得られた結果について要約すると,次のようになる. 1) 河川水の汚染は底質汚染に直接影響を及ぼしており,堆積した有機物は生物学的浄化に強く影響を受けること,なかでも有機物の分解が微生物などの酵素活性に左右されることが推測された. 2) 酵素活性の測定をsuccinic dehydrogenaseに注目し,それが関与して生成するフマル酸量としてとらえた.フマル酸が微生物などの酸素呼吸を表示するBOD値,細菌数と有意な相関を示した. 3) 有機物の分解過程は生成フマル酸量の変化に追随しており,逆に酵素活性(ここではフマル酸)の測定から,有機物の生物酸化の速度が推定できると考えられる. 4) 生成フマル酸量の測定が,間接的な微生物の酵素活性を表示する一因子であると考えられるが,このことは従来から論議されている河川汚濁状況の把握ばかりでなく,浄化能力を知る自安として使用できる可能性も示している.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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