エゴマ種子脂肪酸分布
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概要
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(1) エゴマ種子脂質中の各種エステル型脂質,すなわちステロールエステル,アシルステロールグリコシド,トリグリセリド,モノガラクトシルジグリセリド,ジガラクトシルジグリセリド,ボスファチジルエタノールアミン,ボスファチジルセリン,およびボスファチジルイノシトールを単離し,それぞれの脂肪酸組成を調査,比較した.またグリセロ脂質においては, sn-グリセリ.ル基の各位置に結合する脂肪酸の組成を調べ,各脂質の構成脂肪酸の分子内位置分布の特徴を明らかとした. (2) ステロール誘導体のうち,ステロールエステルの脂肪酸組成はトリグリセリドのそれに近似していた. (3) トリグリセリドはグリセロ脂質中で最も不飽和度が高く,その構成脂肪酸のうち飽和酸の大部分がsn-グリセリル基の1, 3位置に集中していた.また他のグリセロ脂質においても,すべて同様の分布傾向を示し, 1位置に飽和酸のほとんどが集まり, 2位置では不飽和酸,特にリノレン酸とリノール酸が大部分を占めていた. (4) トリグリセリド,モノーおよびジガラクトシルジグリセリド,ホスファチジルエタノールアミシの1群と,ホスファチジルイノシトールおよびホスファチジルセリンの1群との間には, 1位置の飽和酸の比率の点で明らかに差が認められ,これは両群の生合成経路の相違が影響している可能性がある. (5) トリグリセリドおよびホスファチジルエタノールアミンを,それぞれシリカゲルー硝酸銀薄層クロマトグラフィーでその分子種にまで分別し,この実測分子種組成を,各位置の脂肪酸組成から計算した分子種組成と比較したところ,いずれの場合も大体において両者間に大きな差は認められなかった.従ってこの結果から, 1-ランダム, 2-ランダム, 3-ランダム型のアシル化反応を推定することもできる.また両脂質とも,主体となる分子種は,リノレン酸,リノール酸を構成分とする完全不飽和分子種であった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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