蚕の人工飼料育における成長,発育,繭生産,特にそれに対する合成幼若ホルモンの効果について

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人工飼料を蚕の1齢, 1〜2齢, 1〜3齢, 1〜4齢,または全齢の飼育に,桑葉をそれ以外の齢期の飼育に用い(飼育温度26°C),全齢桑葉育の成績を対照とし,幼虫の経過日数,体重,繭の計量形質を比較した.人工飼料育の飼育温度が適正温度よりかなり低かったためと思われるが,人工飼料育における経過は延長し,かつ体重増加も劣った.他方, 4齢期または5齢期の経過が逆に短縮する場合もあったが,一般的に人工飼料育の期間が長くなるにつれ全齢経過は延長し,かつ繭重,繭層重,繭層歩合は低下する傾向を示した.とくに,稚蚕経過に対する壮蚕経過は相対的に短縮した. 上記各試験区ごとに, 5齢期に合成幼若ホルモン類縁物質を経口投与すると, 5齢経過は約1日または若干それ以下であったが,いずれも延長し,同時に繭重,繭層重,繭層歩合は増加し,全齢桑葉育に比してもすぐれた成績となった場合もあり,かつ蚕体重に対する相対的な絹生産の増加となった.この増加の効果は,飼育の型式にはかかわりなく,ほぼ同じ傾向であった. 人工飼料による飼育は,それ自体が飼料による蚕の発育制御を行なっていることと考えられ,この観点からの考察を進めるとともに,今回の測定値の統計的解明を行ない,繭重および繭層重に対する5齢経過と4眠蚕体重の関与の度合およびその重要性を明らかにし,人工飼料育における繭生産の増大の一方向を示唆した.
社団法人日本農芸化学会の論文

蚕の人工飼料育における成長,発育,繭生産,特にそれに対する合成幼若ホルモンの効果について

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