フノランのアルカリ処理による構造変化
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概要
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マフノリ(Gloiopeltis tenax)原藻から熱水抽出により調製した粘質多糖類フノラン(NF)について,アルカリ処理による影響を検討して次の結果を得た. (1)アルカリ処理をしたフノラン(AF)は,塩化カリウムによりゲル状の沈殿部(画分P)と上澄(画分S)の2成分に分別される.また3, 6-アンヒドロ-L-ガラクトース含量,構成糖のペーパークロマトグラフィー, IRスペクトルなどの比較から,画分PとSは性状を異にし,フノランが少なくともアルカリ処理により, PとSを生じるような構造の2成分からなる不均-な多糖類であろうと推察した. (2)アルカリ処理により硫酸基は減少し, 3, 6-アンヒドロ-L-ガラクトースが増加するが,フノラン分子中の全硫酸基の80%近くまではアルカリに安定であり,画分Pの部分加水分解生成物から, D-ガラクトース6-硫酸の単難および部分メタノリシスにより,アガロビオースジメチルアセタールが好収量で得られたこと,さらにIRスペクトルの結果などから,フノラン分子中のアルカリに安定な主要な硫酸基は, 1, 3-位で結合するD-ガラクトース残基のC-6位に結合しているものと推定した. また,フノランを過ヨウ素酸により酸化して得られた酸化フノラン(OF)と,酸化フノランのアルカリ処理生成物(OAF)とのアンヒドロ糖含量の比較から,アルカリに不安定で3, 6-アンヒドロ-L-ガラクトースを与えるような糖硫酸エステル残基の存在の可能性を認めたので,これらについて考察を加えた.
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