αs-カゼインならびにκ-カゼインのCa2+による変化
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概要
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ミセル形成機構解明の一環として,αs-カゼインならびにκ-カゼインの高次構造を反映する2, 3の物理化学的性質のCa2+による変化を超遠心分析,紫外吸収差スペクトル,旋光分散および化学修飾によって検討し,さらにαS-カゼインのCa2+による凝固沈澱形成におよぼす環境因子の影響をも検討した. αS-カゼインはCa2+の添加により旋光分散は変化せず,リジン残基の反応性が増加しfoldingの傾向は認められなかった.しかし会合をおこし,その会合にともなって紫外吸収スペクトルにred shiftがみられ,会合に際して芳香族アミノ酸残基が埋まり込んだことを示唆した.この会合はK+による会合とは異なった特異な機構であって,さらに高濃度のCa2+により生ずる凝固沈澱の機構の前段階であると考えられる.Ca2+による凝固沈澱性は低蛋白濃度,低温, K+濃度の上昇, pHの上昇により低下し,とくにpHの影響や紫外吸収差スペクトルの結果から会合凝固にチロシン残基が関与していることが示唆された. κ-カゼインはCa2+により沈降定数の低下と紫外吸収スペクトルのblue shiftをおこした.すなわち解離とunfoldingの方向への変化がおこっていることを意味する.そしてこの変化によリミセル安定化能は低下した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
-
杉本 悦郎
京都大学農学部
-
千葉 英雄
京大食工
-
佐々木 隆造
京都女子大学
-
千葉 英雄
京都大学農学部食品工学科
-
巽 清
京都大学農学部食品工学教室
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千葉 英雄
京都大学農学部食品工学教室
-
千葉 英雄
京都大学農学部
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