微生物のクエン酸分解に關する研究 : (第4報) Bact. succinicumの炭酸ガス固定について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. Bact. succinicumの静置培養菌体及び振盪培養菌体の乾燥標本は何れも強力なオギザル醋酸の脱炭酸能を保有する.この反応はM/700〜M/950のα, α-dipyridylにより強く阻害される. 2. 放射性炭酸存在の下に,静置培養菌体を用いてクエン酸を嫌気的に分解されると,生産物中のコハク酸のカルボキシル基に強い放射能が証明され,培養終了時のそのspecific activityは外囲の炭酸ガスの25〜30%に達する.外の主な生産物醋酸は殆んど全く放射性を示さず,残存クエン酸は多少の放射性を示す. 3. カルボキシル基にC14を入れたコハク酸添加の下に,静置培養菌体を用いてクエン酸を嫌気的に分解させ,コハク酸のカルボキシル基と,外囲の炭酸ガスとのmetabolic exchangeを調べた.培養終了時の外囲の炭酸ガスのspecific activityはコハク酸カルボキシル基の約7%を示す.この値は放射性炭酸固定の場合に比べかなり低い. 4. 放射性炭酸のコハク酸カルボキシル基への固定はWOOD-WERKMAN機構によるものと考えられ,単なるmetabolic exchangeでは説明されないので,クエン酸は炭酸ガスと平衡するC4化合物を中間体としてコハク酸に分解される事は明である.よつて本実験は先に想定した醗酵機構を強く支持する.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
関連論文
- 菌類による左旋性エチレンオキサイド-α, β-ヂカルボン酸の生産 : (第6報) C14O2存在下におけるMonilia formosaの醗酵
- 微生物のクエン酸分解に關する研究 : (第1報) Bact. succinicumの有機酸代謝に就て
- 微生物のクエン酸分解に關する研究 : (第5報)α, α-DipyridylによるBact. succinicumの炭酸ガス固定の阻害について
- 微生物のクエン酸分解に關する研究 : (第4報) Bact. succinicumの炭酸ガス固定について
- 放射性同位元素による微生物の物質代謝に關する研究 : 酵母及び絲状菌の燐酸代謝に及ぼす諸條件の検討
- 微生物のクエン酸分解に關する研究 : (第3報)黒黴のクエン酸生成及び分解におよぼすα,α-ヂピリジル影響