大豆根瘤菌のアミノ酸代謝に関する研究 : (第1報) L-システインの好気的分解酵素
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概要
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1. L-システインを含まない培地に生育した大豆根瘤菌の浮游液はある長さの誘導期間を経た後に, L-システインを分解し,硫化水素を発生する.誘導期間の長さは反応のpHに左右される(第1図). 2. L-システインに適応した菌の浮游液では反応開始後直ちに硫化水素の発生がおこる(第2図). 3. 菌浮游液とアセトン粉末では,反応最適pHが異る(第1, 2, 3図). 4. アセトン粉末から出発して本酵素を或る程度精製することが出来た(第4図). 5. 助酵素は,他の微生物と同様に,ピリドキサール燐酸であることを推定し,かつ最終反応生成物はアンモニヤ,硫化水素,焦性ブドウ酸であることを知つた. 6. 本反応はカルボニール試薬で阻害され,阻害度は各試薬によつて異る.亜砒酸,青酸が最も強く,セミカルバジッド,モノヨード酢酸がその次で,ヒドロキシルアミンが最も弱い. 7. 脱アミノ反応が脱硫化水素反応に先行し,従つて下図の如く反応が進むであろう. L-システイン→脱アミノ中間体X+NH3→脱硫中間体Y+NH3+H2S→焦性ブドウ酸+NH3+H2S 8. 本反応は酸素によつて促進される.所謂,好気的反応である.酸素は恐らく反応で生成する焦性ブドウ酸の酸化に用いられ,このような酸化反応がシステインの分解と共軛し,かつそれを促進するものと推論した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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中村 幸彦
北海道大学農学部農芸化学科
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下村 得治
北海道大学農学部農芸化学科
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沢井 功
北海道大学農学部農芸化学科
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沢井 功
北海道大学農学部農芸化学教室
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下村 得治
北海道大学農学部農芸化学教室
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中村 幸彦
北海道大学農学部農芸化学教室
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中村 幸彦
北海道大学農学部水産化学教室
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