唾液腺腫瘍の病理 : ―小唾液腺腫瘍を中心に―
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概要
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小唾液腺腫瘍は,口腔外科や病理の領域で重要な位置を占める。小唾液腺では悪性腫瘍の割合が比較的高く,特に舌,口底と臼後部では多くの腫瘍が悪性である。大唾液腺と同様に良性腫瘍では多形腺腫が,悪性腫瘍では粘表皮癌が最も多いが,細管状腺腫,導管乳頭腫,多型低悪性度腺癌や明細胞癌NOSはもっぱら小唾液腺に発生し,唾液腺導管癌,オンコサイト癌などの高悪性度腫瘍はまれである。粘表皮癌は顎骨内に発生することもあり(中心性粘表皮癌),歯原性の由来が想定されている。口腔内の腫瘍は,外傷や炎症による潰瘍形成を伴いやすい。組織学的には,良性小唾液腺腫瘍は被膜が不完全で,周囲組織と接することがある。さらに,炎症により様々な偽悪性変化を来すこともある。腺様嚢胞癌は,小唾液腺にも好発する悪性腫瘍で,組織構築や細胞分化が多形腺腫と類似していることから,小さな生検組織での両者の鑑別が困難な場合があり,細胞増殖活性とS100タンパクの局在の違いが参考になる。腺様嚢胞癌ではSkp2の過剰発現によるp27のユビキチン分解促進が転移や低生存率と相関しており,p27の発現低下とSkp2の過剰発現が腺様嚢胞癌の予後推測の指標となりうることが示唆された。壊死性唾液腺化生や腺腫様過形成などの腫瘍様病変との臨床病理学的鑑別も重要である。
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