新規経口トロンビン阻害薬では,なぜ頭蓋内出血の頻度が少ないのか : ―基礎の立場から―
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概要
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心房細動患者における心原性脳塞栓症の予防薬として,ワルファリンが有用であるものの,出血性の副作用が大きな問題となっていた.最近,経口トロンビン阻害薬(ダビガトラン)が開発され,その比較検討試験(RE-LY)でワルファリンに比べダビガトランでは頭蓋内出血が少なかったことが報告された.その要因は,両薬剤の凝固カスケードでの作用点ならびに薬理作用の違いと考えられる.頭蓋内の微小な血管損傷は,通常,脳組織に豊富に存在する組織因子による第VII因子活性化にはじまる外因系凝固カスケードが始動し,素早く止血され無症候性に治癒する.しかし,ワルファリンはこの止血反応始動に必須な第VII因子やプロトロンビンの不可逆的低下をきたし,十分なトロンビン生成ができず止血困難となる確率が高まる.一方,ダビガトランは可逆的な特異的トロンビン阻害薬で,第VII因子やプロトロンビン濃度にほとんど影響しない.そのため,頭蓋内血管損傷時には組織因子による外因系凝固カスケードが始動し,ダビガトランの抗トロンビン活性を凌駕する大量のトロンビンを生成させる.これが,ワルファリンに比べ理論的に頭蓋内出血が少ない要因と予想される.
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