γ線照射の温州ミカンのペクチン質におよぼす影響について
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概要
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温州ミカンにγ線を照射 (線量: コントロール 0, No.1 0.9×104, No.2 9.6×104, No.3 53.2×104, No.4 117.8×104) した場合のペクチン質におよぼす影響を検討した結果, つぎのことがわかつた。1. 果汁中に含まれる水溶性ペクチンの量は照射線量の増加に伴つて増加するが, その inherent viscosity は減少し, ペクチンの分解のおこることを示している。2. 果皮およびパルプのペクチン質を水溶性, ヘキサメタ燐酸ソーダ可溶性 (水に不溶性のペクチニン酸, ペクチン酸の塩類を含む), 塩酸可溶性ペクチン (プロトペクチンを含む) に分別定量した結果, 照射線量の増加にともなつて, 水溶性, ヘキサメタ燐酸ソーダ可溶性の全ペクチン中の比率は増加するが, 塩酸可溶性のペクチンは減少する。しかもその増減の度合はパルプのほうがいちじるしい。また抽出液の inherent viscosity は線量の増加に伴つて各可溶性ペクチンとも減少することから, ペクチン質の劣化が認められる。しかも, その減少の割合は果皮よりもパルプにおいていちじるしい。3. 果皮とパルプとでは各可溶性のペクチン量の比率および inherent viscosity がとくに水溶性とヘキサメタ燐酸ソーダ可溶性において, その傾向を異にし, 線量の増加による増減の変化も異なることから, 両者のペクチン質にかなり性状のちがいがあるものと認められる。4. ペクチン製造原料として果皮やパルプにγ線を照射してから抽出することはペクチンのゼリーユニットの低下から不適当であることを知つた。
- 園芸学会の論文