温床床土に関する研究 (第7報) : 土と有機物の比率の異なる混合土の物理性
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概要
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先に果菜の育苗用速成床土について研究を行ない, 生育に最も適当と思われる組成について報告したが, その科学的な裏付けをするため, 土と腐葉土の比率をかえた混合土の物理性を調べた。1. 土壌水分恒数を求めpF曲線をかいたが, 火山灰土, 荒木田, 川砂のいずれの土でも腐葉土の量が多くなるにつれ曲線の傾斜が大きくなり, 同一水分張力における各混合土の水分含量の差の幅は, 低水分張力ほど広くなつた。植物の生育に有効な水分量は重量%で表わすと, いずれの土でも腐葉土を加えることによつて増加するが, 容積%で表わすと, 腐葉土の比率が増すにつれ火山灰土, 荒木田では減少し, 川砂では増加した。また大孔隙は, どの土でも腐葉土を加えることにより増加した。2. 苗床に近い状態における物理性を知るため, 混合土を鉢につめ約1か月間灌水した後の土壌実容積, 三相の状態を調べたところ, 腐葉土の少ない区ほど固締し, ±3+腐葉土1の多い区では実容積が減少した。3. ガラス円筒に混合土をつめ, 約1か月間灌水後, 透水性, 通気性を調べたところ, 両者とも川砂が最もよく, ついで火山灰土で荒木田は不良であり, とくに透水性はかなり劣つた。腐葉土を加えることによつて透水, 通気性ともいずれの土でも著しく改善された。4. 以上の実験から, 一般に土に対する腐葉土の含量がますにつれ, 混合土の保水性は乏しくなるが, 排水性, 通気性は共に良好となることが明らかになつた。これらの物理性と, 果菜苗の根系の発達あるいは根の性質の相違などの関連から, 種類によつて最適な床土の組成が異なつたと考えられる。
著者
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