トマトの生育ならびに開花•結実に関する研究 (第6報) : 生育ならびに花芽形成に及ぼす植物生長調整物質の影響
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概要
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トマトの生育ならびに花芽形成に対する植物生長調整物質の影響について試験した。1. IAAの影響 濃度1, 10および100ppmの水溶液を, 子葉展開直後から5日間隔で8回全面撒布した。1, 10ppm区では標準区とほとんど変らないが, 100ppm区では生育が抑えられ, 花芽の分化が遅れ, 着花節位が僅かながら上昇し, 着花数が減少した。2. NAAの影響 濃度0.1, 1および10ppmの水溶液を, 子葉展開直後から5日間隔で8回全面撒布した。0.1, 1ppm区では生育, 花芽形成共に標準区とほとんど差は認められないが, 10ppm区では生育が抑えられ, 花芽形成が遅れ, 着花数が減少した。3. TPAの影響 50ppm区では僅かながら生育が促進され, 200, 1,000ppm区では生育が抑えられ, ほとんどの個体が芯止りとなつた。いずれの濃度区でも花芽形成が促進され, 着花節位が低下し, 着花数が増加した。4. GA3の影響 濃度5, 20, 50および100ppmの水溶液を, 子葉展開直後から5日間隔で8回全面撒布した。GA3施与によつて茎の伸長は促進されるが, 茎葉重は軽くなり, 徒長的な生育を示し, 花芽形成は遅れ, 着花節位が上昇し, 着花数が減少しており, その傾向は濃度に準じている。5. TIBAの影響 濃度0.1, 1および10ppmの水溶液を, 子葉展開直後から5日間隔で8回(10ppm区は3回で中止) 全面撒布した。0.1ppm区では生育•花芽形成共に標準区とほとんど変らないが, 1, 10ppm区では生育が抑えられ, 花芽形成が促進され, 着花節位が低下し, 着花数が増加した。特に10ppm区では最初の施与ですべて芯止りとなり, 第4節で第1花房を分化している。6. Coumarin の影響 濃度100, 1,000および5,000ppmの水溶液を, 子葉展開直後から5日間隔で8回全面撒布した。100および1,000ppm区は生育•花芽形成共に標準区とほとんど変らないが, 5,000ppm区では生育が抑えられ, 花芽形成が遅れ, 着花数が減少した。7. 花芽形成と体内成分との連関 種々の植物生長調整物質を施与した場合の花芽の形成と体内成分 (窒素化合物•炭水化物) との関係をみると, 生育が抑えられ, 花芽形成が遅れ, 分化数が減少したIAA, NAAおよびCoumarin を施与した場合や, 伸長生長のみが旺盛となつて茎葉重が減少して徒長的生育を示し, 花芽形成が遅れ, 分化数が少なくなつたGA3を施与した場合には, 炭水化物特に全糖が少なく, 窒素化合物特に蛋白態窒素が少なくなつている。しかし, TIBAやTPAを施与して生長点部の活性が抑えられ, 芯止りとなつて第1花房のみしか分化しない場合は, 正常に発育した場合に認められた花芽形成と体内成分との関係は必ずしも認められず, 花芽分化数の多少をこのような条件のみで説明するには充分でないように認められる。8. 花芽形成に対する植物生長調整物質の作用 IAA, NAA, Coumarin 施与区のように生育が抑えられた場合やGA3施与区の如く徒長して充実を妨げられた場合には苗令の進行が遅れ, 花芽形成に直接関与する花成物質の葉における生成, 葉から分裂組織への移行あるいは分裂組織における機能が抑えられて花芽形成が遅れたものと考えられる。これに対し, TPA, TIBAを施与した場合には生長点部の活性が抑えられ, 分裂組織における花成物質の集積が急激に増加して花芽の形成が促進されたものと考えられる。
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