リンゴ果実の熟度に関する研究 (第1報) : 果実 (旭) の呼吸クライマクテリックと熟度との関係
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概要
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リンゴ (旭品種) において, 貯蔵用果実の収穫適期を判定するために呼吸クライマクテリックを用いることの妥当性と, 果実の品質および熟度を判定するために行なわれている硬度, 糖度および酸含量の測定意義について検討した。また, 同一果実における呼吸量の時間的変化より, 熟度を判定する方法を案出した。なお, 採取後の個々の果実に認められる呼吸クライマクテリックと, 採取時期を異にする果実の呼吸量より推定される着生状態における呼吸クライマクテリックとを区別し, 前者をrc, 後者をRCと略記する。1. 同時に採取した果実の単位重量当りの呼吸量には, 少なからぬ個体差が認められたが, 外観のそろつた果実を選抜すれば, その点はさほど問題とする必要はない。2. 採取時期を異にする場合, 熟度が進むにつれて各果実の呼吸は, まず rc•min. ついで rc•rise の順にその段階の一部を欠除する。3. RCを推定するため10回にわたり果実を採取し, 呼吸量を測定したが, この場合, 採取より測定までの時間が長びくにしたがい, RCの発現が早められた。4. 従来のRC推定法は, 少なくとも数回にわたつて採取した果実についての呼吸測定を必要とし, RC•rise 発現前には RC•min. の時期を推定できず, 採取より測定までの時間によつてRC曲線に変化が生じるので, 貯蔵用果実の収穫適期の判定に用いるのは適当とは思われない。これに反し, 時間的呼吸量差 (採取より測定までの時間が異なる場合の呼吸量の差異) を求めれば, ただ1回の採取によつてRCを推定することができる。すなわちその差の値の正負から RC•min. の時期が推定されるのである。5. 硬度および酸含量には, 熟度を判定するための指標となりうるような推移を見い出すことはできなかつたが, 糖度の変化を熟度判定に利用することはできる。しかし, この方法は同一果実について反復測定ができず, 少なからぬ個体差があるため実用的とは思われない。
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