Muscat of Alexandria における摘心およびホウ素の葉面散布が体内栄養ならびに結実に及ぼす影響 (第2報)
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概要
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1. 前報したように, ブドウの新梢に対する開花前の摘心やホウ素の葉面散布は花粉の発芽や果粒の止まりを良好にする。本実験は, これらの処理の影響を栄養的にみるために, 開花前に新梢の基部を5葉または10葉で摘心したりあるいはホウ素 (ホウ酸0.2%) の葉面散布をした Muscat of Alexandria について, 枝梢および花器の化学分析を行なつた。2. いずれの処理によつても, 満開期の花粉中にはglucose および数種のアミノ酸含量が増加し, 子房ではglucose および fructose 含量が減少するとともに子房の発育が著しく促進された。花房付近の葉内の全糖含量は無処理区では開花期に増加したが, 処理区では開花前から増加した。また, 花房内の全糖含量はいずれの場合も満開期に減少し, その傾向はとくに処理区で著しかつた。3. 花房内のアミノ態およびたん白態窒素含量は無処理区では満開期に減少したが, 処理区では反対に増加したま。た, 満開期の枝梢内のアミノ態窒素含量をみると, 摘心区では葉および枝の含量が, ホウ素散布区では葉の含量が無処理区よりも多かつた。4. 開花期における花房内のP, K含量および花房付近の葉内のK含量は処理区, とくにホウ素散布区で著しく増加した。5. 開花開始期に新梢の基部に14C-sucrose を与えて, 4日後にその分布を調査したところ, いずれの処理区においても無処理区にくらべて花房内への14Cの移行が多かつた。ホウ素を葉面散布するかわりにホウ酸30ppmを14C-sucrose 溶液に添加して与えても同じ傾向がみられた。花房内の14Cは摘心区では ethanol 可溶性のものが不溶性のものより多かつたが, ホウ素の散布区および添加区ではその逆であつた。無処理区では可溶性と不溶性の割合がほぼ等しかつた。
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