グラジオラス球茎の休眠に関与する抑制物質
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概要
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著者らは既報においてグラジオラス球茎の休眠に関与する抑制物質は三つのグループに分けられることを述べたが, ここにば, それらの抑制作用について実験した結果をまとめた. (1) 酢酸エチル可溶性酸性分画を, イソプロパノール••アンモニア: 水 (10:1:1 v/v) の展開溶媒を用いペーパーク官マトグラフで展開し,Rf 0.0〜0.4と0.4〜1.0を切断した. 後者を活性炭カラム上でアセトン溶液で分画するとアセトン40〜60%および90〜100%にアベナの伸長を抑制する部分がみられた. これらを, おのおのインヒビターIIおよびIIIと名づけた. IIIは乾固した後90%メタノール300mlに溶した. IIはABAに当たるものと考えられる.(2) Rf 0.0〜0.4のクロマトグラムは90%メタノール500mlで溶出し,インビターIとした. IおよびIIIを休眠の破れた球茎 (品種スノー•プリンセス) の頂部に4回滴下したところ, 水にくらべIおよびIIIは発芽を抑制した. Iのほうが抑制力は低かつた. しかし, 休眠の破れた木子 (品種ホワイト•フレンドシップ) を用い, これらの溶液に24時間浸漬したものでは同じ程度の抑制を示した.(3) IおよびIIIは粗抽出液であつたが, 先のIIについては, 別に酢酸エチル可溶性酸性区分をとり, 硅酸-セライト•カラム上でベンゼン, 酢酸エチルで分画し, さらにメタノール分画を続けた. その結果インヒビターIII, II, Iの順序で分画されたので, IIをとり合成ABAと比較してペーパー•クロマトグラフ上のUV吸収をしらべ, 別にO.R.D.測定を行なつた. その結果UV吸収は合成ABAと同じ位置に見られ, O.R.D. はABA特有のコットン効果を示した. したがつてIIはABAである. ABAによる木子の発芽抑制をしらべると10-4Mの濃度から著しい効果が認められた. インヒビターIはフェノールでIIIは脂肪酸化合物であるが, 純化と同定を進めている.
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