ナフトキノン誘導体, 2-benzimidoyl-3-hydroxy-1,4-naphthoquinone が二十世紀ナシの摘花に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. ナフトキノン系植物生長調節物質, 2-benzimidoyl -3-hydroxy-1,4-naphthoquinone(bendroquinone) の二十世紀ナシの花に対する影響を明らかにし, 摘花剤としての利用の可能性を検討するとともに, 摘花効果を変動させる二, 三の要因について考察を行った.2. 二十世紀ナシの開花前後の花に, bendroquinone を散布処理すると, 開花直前から満開期までは10ppm で著しい落花を誘起したが, 結果期に入ると10ppmではほとんど影響がなく, 100ppm以上ではじめて落果を認めた. Bendroquinone による摘花効果は, 花そう内の個々の花の発育段階と密接に関係し, 開花前後一両日の花が最も高い感受性を示した. したがって, 花そう中の2番花から5番花の開花時期に bendroquinone 5〜10ppmを散布処理すると十分な摘花効果が得られた.3. 発育段階が同じ程度の花そうであれば, 亜主枝における花そうの着生部位の違いによって摘花効果に差はなかった. 短果枝についている花そうは長果枝の花そうよりも, また, 展開葉数の多い花そうは少ない花そうよりも, わずかに摘花効果が強い傾向を示した.4. 開花当日までの処理では, 花こうおよび花たく表面に200ngに bendroquinone が付着すると, 安定した摘花作用を誘起した. 開花3日以後の処理では, 落花を諸起するには, 300ngの付着量が必要で, 開花後日数が〓過すると, より多くの bendroquinone 付着量を必要〓した.5. 小型温度調節ガラス室を用いて調査した摘花効果と温度との関係では, bendroquinone 処理後の温度が低温(10°C)区で最も摘花作用が強く, ついで中温(17.5°C)区であり, 高温(25°C)区で最も弱かった. 摘花作用が低温において高温より強く現われる傾向は, 油日および鳥取における1973年から1978年までの開花期処理後の日平均気温と摘花効果の年次変動との関係ともよく一致した.6. 二十世紀ナシ以外の日本ナシ品種における bendroquinone の摘花効果は, 八幸, 菊水, 二十世紀×ヤーリーおよび青竜で著しく強く, 一方, 新水, 新雪, 祗園, 秀水および八雲×光月においてはほとんど認めなかった.7. Bendroquinone 処理区の収穫果の形質については, 明らかな摘花効果を認めた区を含めて, すべての処理区の果実は, 果実重量, 果実横径, 果実高, 含種子数, 可溶性固形物含量および滴定酸含量において, 無処理とほとんど差を認めなかった.
- 園藝學會の論文
著者
-
田辺 賢二
鳥取大学農学部
-
三木 信夫
塩野義製薬 油日ラボ
-
三木 信夫
Aburahi Laboratories Shionogi & Co. Ltd.
-
林 真二
鳥取大学農学部農学科園芸学研究室
-
行永 寿二郎
塩野義製薬株式会社動植薬開発部
-
行永 寿二郎
塩野義製薬•動植薬開発部
-
林 真二
鳥取大学農学部
関連論文
- マンシュウマメナシ台木によるニホンナシの耐塩性向上(土壌管理・施肥・灌水)
- GA処理で誘導したニホンナシ'秋栄'および'豊水'果実のみつ症に伴う生理・化学的変化
- 韓国産イチゴ新品種の特性と貯蔵性の品種間差異(収穫後の貯蔵・流通)
- ニホンナシ'ゴールド二十世紀'幼木の整枝法の違いが器官別乾物分配および^C光合成産物の転流に及ぼす影響(栽培管理・作型)
- 電熱線によるネギの側条地中加温が抽苔および生育に及ぼす影響(発育制御)
- 初夏どりネギ栽培におけるトンネル被覆資材と施肥方法が生育,抽苔および収量に及ぼす影響(栽培管理・作型)
- 地中海沿岸部原産のナシ台木種P. amygdaliformisおよびP. elaeagrifoliaの耐塩性はアジア原産の台木種に比べ強い
- ナシ属植物の耐塩性は根から葉へのNaおよびClイオンの転流量と関係がある
- 重炭酸塩がアジアナシ台木種の鉄欠乏クロロシスに及ぼす影響
- 初夏どりネギ栽培における花芽分化時期の液肥が植物体の窒素レベル, 抽苔および収量に及ぼす影響(土壌管理・施肥・灌水)
- 石灰誘導性鉄欠乏クロロシスに対するアジアナシ台木種の耐性
- SSF-126のミトコンドリア呼吸鎖における阻害部位について
- SSF-126 によるイネいもち病菌シアン耐性呼吸誘導に関する要因について
- ニホンナシ品種における果実成熟エチレン生成に関する遺伝子型の決定
- イネいもち病菌 Magnaporthe grisea シアン耐性呼吸欠損株におけるalternative oxidase遺伝子の解析
- (7) イネいもち病菌Pyricularia oryzae のSSF-126感受性株(シアン耐性呼吸欠損株)の分離 (日本植物病理大会)
- イチゴの休眠に関する生理学的研究 : II. 低温要求期における昼間温度が不眠打破におよぼす影響
- カキ果実の発育ならびに成熱に関する生理学的研究 : V. 果実の発育と内生のオーキシン, ジベレリン, サイトカイニン, アブシジン酸およびエチレン含量との関係
- カキ果実の発育ならびに成熱に関する生理学的研究 : IV. 富有カキ(有核種)および平核無カキ(無核種)における果実の形態学的研究
- イチゴの休眠に関する生理学的研究 : I. 休眠期の生育相ならびに休眠の推移に伴うクラウン内の生長調節物質の動き
- カキ果実の発育ならびに成熱に関する生理学的研究 (第3報): 果実の細胞分裂期における物質代謝におよぼす秋季摘葉の影響
- 和ナシ花粉の発芽生理に関する研究
- A206 (α- メトキシイミノベンジル)イソオキサゾール誘導体の合成と殺菌活性
- ニホンナシ果実の発育, 成熟期におけるエチレン生成とポリアミンの関係
- ニホンナシの休眠打破に果たす根の役割
- [2-(2, 5-ジメチルフェノキシメチル)-α-メトキシイミノベンジル]イソオキサゾール誘導体の合成と殺菌活性
- ニホンナシ'秋栄'果実のみつ症発生に及ぼす夏季せん定及びジベレリン処理の影響
- ニホンナシの樹体内貯蔵養分の動向に関する研究
- Bendroquinoneによる二十世紀ナシの摘花(果)に関する研究
- 日本ナシ'新水'の鮮度保持に関する生理学的研究
- ハウス栽培巨峰の脱粒に関する生理学的研究
- 日本ナシの花芽形成に関する生理学的研究 : I. "新水"及び"豊水"ナシの花芽形成と内生生長調節物質の変化
- 蔬菜類の栽培におけるポリエチレンマルチの利用に関する基礎的研究 (第4報) : 土壌養分の流亡ならびにロジメロンとナスの養分吸収におよぼすエイキョウ
- メトミノストロビンのイネ紋枯病菌の呼吸に及ぼす影響と防除効果
- メトミノストロビンのイネ紋枯病菌の呼吸に及ぼす影響と防除効果
- 活性酸素種によるalternative oxidase遺伝子の転写誘導
- シアン耐性呼吸欠損イネいもち病菌突然変異株の解析
- GA処理で誘導したニホンナシ'秋栄'と'豊水'果実のみつ症発生組織における細胞壁分解および構造的変化
- ニホンナシ成熟果実出来ACC合成酵素cDNA(PPACS3)のクローニングと発現解析
- ナシ属野生種および栽培品種の葉芽の自発休眠打破に要する低温要求量の差異
- 露地メロン果実の発育に伴う呼吸ならびに有機成分の変化
- 蔬菜類の栽培におけるポリエチレンマルチの利用に関する基礎的研究 (第3報) : 路地メロンおよびナスの生長におよぼす影響
- 蔬菜類の栽培におけるポリエチレンマルチの利用に関する基礎的研究 (第2報) : 植生条件下における地温効果
- ナガイモ栽培におけるMHの利用に関する研究
- ニホンナシの芽の休眠に関する生理学的研究
- 組織培養により養成したナシ台木と栽培品種自根苗木の実用化に関する基礎的研究
- イチジクの下位節の着果肥大期と成熟期における結果枝内の ^C 光合成産物の分配
- イチジク'桝井ドーフィン'の葉が秋季に同化した ^C の貯蔵と翌春における転流
- 露地条件下におけるハナショウブの開花に及ぼすジベレリンおよびジベレリン生合成阻害剤の影響(発育制御)
- ハナショウブの生育に伴う体内炭水化物ならびに窒素の季節変化
- エタノールおよび炭酸ガス処理に伴うカキ'西条'果実のアセトアルデヒド蓄積ならびに脱渋の特性
- '二十世紀'ナシ幼木における果実発育初期の ^C 同化産物の転流パターン
- 水ストレスが'二十世紀'ナシにおける果実生長と ^C 同化産物の分配に及ぼす影響
- 2-(5-イソオキサゾリルオキシ)アセトアミド誘導体の合成と除草活性
- ニホンナシ'二十世紀'が秋季に蓄積した ^C 同化産物の翌春における転流
- 年齢の異なる短果枝に対する果そう葉の除去と環状剥皮処理がニホンナシ'二十世紀' (Pyrus pyrifolia Nakai) の果実発育, 品質および枝葉の炭水化物含量に及ぼす影響
- 短果枝年齢がニホンナシ'二十世紀'の短果枝内光合成産物の転流に及ぼす影響
- B126 新規殺菌剤 SSF-126 によるイネいもち病菌のシアン耐性呼吸の誘導
- B125 新規殺菌剤 SSF-126 のイネいもち病菌のエネルギー生産に及ぼす影響
- 果実のエチレン生成特性によるニホンナシ品種の類別
- ニホンナシ二十世紀の芽の休眠打破に及ぼす高温処理の影響
- 低温処理がニホンナシ二十世紀の芽の休眠の深さ,呼吸および内生生長調節物質に及ぼす影響
- サトイモ培養球茎株の乾物生産特性および13C同化産物の転流•分配
- 二十世紀ナシのユズ肌病に関する研究 : (第5報)K施用量ならびに果実中の可溶性K, Ca, Mg含量と障害発生との関係
- ニホンナシ果実発育の早晩性,貯蓄性とエチレン生成との関係
- 茎頂培養によるニホンナシ台木の大量増殖について
- エセホン及びBA散布による′長十郎′ナシの花芽形成促進並びに花粉収量の増加
- ニホンナシにおける花芽形成の品種間差異と内生生長調節物質との関係
- ニホンナシの花芽形成と窒素栄養との関係
- ニホンナシの花芽形成, 栄養成分並びに内生生長調節物質に及ぼす SADH 及び新梢誘引の影響
- 自家和合および自家不和合ニホンナシにおけるS-タンパク質の発現と遺伝
- ニホンナシの5個の自家不和合複対立遺伝子に対応した花柱塩基性タンパク質
- ニホンナシの芽の休眠打破に関連したタンパク質の変化
- ナフトキノン誘導体, 2-benzimidoyl-3-hydroxy-1,4-naphthoquinone がトマトの生育に及ぼす影響 (第2報) : 半促成ビニルハウス栽培トマト並びに加工トマトに対する部分及び全体散布
- 湛水がナシ台木のエタノールならびにエチレン生成に及ぼす影響
- ナシ台木種の耐水性に関連したミトコンドリアの特性
- ナシ台木の耐水性とシアン耐性呼吸との関係
- ナシ‘二十世紀’のユズ肌病発生樹および健全樹における果肉中の不溶性 K, Ca, Mg 含量の差異
- ナフトキノン誘導体, 2-benzimidoy1-3-hydroxy-1,4-naphthoquinone がトマトの生育に及ぼす影響 (第1報) : トマトにおける単為結果誘起作用
- SSF-126 水面施用によるイネいもち病の防除
- ニホンナシにおける耐凍性と脂肪酸組成の季節変化と気温および生長ステージとの関係
- ニホンナシの芽の休眠の推移に伴う内生ポリアミンの種類と含量の変化
- ポリアミン処理がニホンナシ果実のエチレン生合成に及ぼす影響
- ニホンナシにおける芽の休眠特性の品種間差異並びに'二十世紀'のChill unitモデルの作成
- イチゴ"宝交早生"の花芽分化と生長調節物質との関係
- ニホンナシにおけるユズ肌病発生程度の品種間差異と果肉中の無機成分との関係
- Bendroquinone が‘二十世紀’ナシの花の発育及び内生生長調節物質に及ぼす影響
- ナフトキノン誘導体, 2-benzimidoyl-3-hydroxy-1,4-naphthoquinone が二十世紀ナシの摘花に及ぼす影響
- ニホンナシの花芽の分化•発達に関する形態学的及び組織学的研究
- 自家和合性ニホンナシ新品種の育成に関する研究
- ゲノムDNAのRFLP分析法によるナシ属植物の類別及びDNAフィンガープリント法によるニホンナシ栽培品種の品種同定
- 茎頂培養によるニホンナシ栽培品種の大量増殖について
- 落葉果樹産地における植物科学調整剤の有用性と利用の実際 : 特に日本ナシ産地,鳥取におけるGA,Ethephonの有用性について
- 二十世紀ナシのユズ肌病に関する研究 (第4報) : 無機成分と障害発生との関係について
- ナガイモの“アク”に関する研究 (第2報) : 呼吸とポリフェノール含量の関係, ならびにそれらにおよぼすMHの影響
- リンゴわい性台木の根ざし増殖に関する研究
- 花芽のペルオキシダ-ゼアイソザイム分析による日本産ナシ属の類別〔英文〕
- ニホンナシ"二十世紀"の側枝年令と果実発育との関係
- 葉のペルオキシダ-ゼアイソザイム分析によるナシ属種の類別