ウンシュウミカンの異なる樹形における着果部位別の果実品質, 特に糖, 有機酸およびアミノ酸組成について
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概要
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ウンシュウミカンの栽植様式, 樹形, 整枝ならびにせん定などの樹形管理技術の合理化と品質向上対策の一環としての基礎資料を得る目的で, 1977年の7月から12月までの間, 杉山系普通ウンシュウミカン成本の開心自然形樹と柵仕立て樹の異なる着果部位における果汁中糖, 有機酸およびアミノ酸組成を調査した. 得られた成果を示すと次のとおりである.1. 果汁中糖類として果糖, ブドウ糖, ショ糖が検出され, 各着果部位とも果実発育の前半には果糖が圧倒的に多く, 10月下旬になるとショ糖との割合が逆転した. ブドウ糖は全期間を通してほぼ一定の割合で推移した. これら3中性糖含量は両樹形樹とも着果部位間に差違はなかった.2. 両樹形樹の各着果部位とも, 果汁中有機酸の成分としては遊離型, 結合型とを問わず, グルタミン酸, グルクロン酸, ピローグルタミン酸, 乳酸, 酢酸, ピルビン酸, リンゴ酸, クエン酸, コハク酸, イソークエン酸およびα-ケトグルタル酸が検出された. それらのうちクエン酸が主要酸であり, 次いでリンゴ酸, グルタミン酸が多量に含有され, これら有機酸が総有機酸含量の消長を強く支配した. 両樹形樹ともクエン酸, リンゴ酸,グルタミン酸などの主要酸や他の微量有機酸の消長には, 各時期を通じて樹冠内着果部位によって, 著しい差違はなく, 一定の傾向もなかった.3. 果汁アミノ酸成分としては両樹形樹とも各着果部位において, アスパラギン, グルタミン, アスパラギン酸, スレオニン, セリン, グルタミン酸, プロリン, グリシン, アラニン, システィン, バリン, メチオニン,イソーロイシン, ロイシン, チロシン, フェニールアラニン, γ-アミノ酪酸, リジン, ヒスチジン, アルギニンおよびアンモニアが検出された. これらのアミノ酸のうち, 各部位とも果実の成熟に伴ってプロリン含量が最も顕著に増加した. 一方, 着果部位によってアミノ酸組成には著しい変動があったが, 各時期を通じて一定の傾向はみられなかった.4. 総活すると, 本実験においては開心自然形と柵仕立て樹とを問わず果実品質, とくに糖類, 有機酸およびアミノ酸などの果汁成分には樹冠方位, 上下, 内外などの着果部位による一定の傾向がなく, 瀬戸内地方においては, 樹相の相違に伴う樹冠内微気象変動は問題とならない.
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