異なる樹形のウンシュウミカンの冷夏•寡日照年における着果部位別果実品質
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概要
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1980年の7〜8月は, 降水日数および降水量が多く, 冷夏, 寡日照であった. このような異常気象条件下でのウンシュウミカン果実の発育およびその品質について, 開心自然形樹および柵仕立て樹における着果部位 (開心自然形樹南側上部, 内部, 北側下部, 柵仕立て樹上部, 内部, 下部) 別の差異を, 9月から12月にかけて調査した. 結果は以下のとおりである.1. 開心自然形樹, 柵仕立て樹とも果実の肥大は樹冠の上部の果実ですぐれ, 内部, 下部の果実で劣った.2. 両樹形樹とも, 果皮の着色度と色差計のa値は上部の果実で高く, 次いで下部の果実であり, 内部の果実で最も低かった.3. 両樹形樹とも, 果実の果汁の糖度は上部の果実で高く, 下部, 内部の果実で低かった. 開心自然形樹の各着果部位の果実の果汁の糖度はいずれも柵仕立て樹の各着果部位の果実のそれより高かった. 果汁の果糖, ブドウ糖, ショ糖含量はいずれも, 糖度の高い果実において高く, 糖度の低い果実において低かった.4. 両樹形樹とも, 果汁の滴定酸度は上部の果実で低い傾向にあったが, 樹形, 着果部位間の差異は小さかった. 果汁中のクエン酸含量および総有機酸含量は滴定酸度の高い果実において高かった.5. 果実の成熟に伴って, 果汁のアミノ酸総量に対して, プロリン, アルギニン, アラニンの割合は高くなり, アスパラギン, アスパラギン酸, グルタミン酸の割合は低くなる傾向にあったが, いずれのアミノ酸含量も樹形, 着果部位との間に一定の傾向は認められなかった.
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