キュウリ果実の ACC 合成酵素および ACC 酸化酵素 cDNA のクローニングと傷害とオーキシン処理による遺伝子発現
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概要
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キュウリ(Cucumis sativus L.)果実からRT-PCR (reverse transcription and polymerase chain reaction)とRACE (rapid amplification of cDNA ends) PCRにより3種の1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)合成酵素のcDNA (pCS-ACS1, pCS-ACS2, pCS-ACS3)と2種のACC酸化酵素のcDNA (pCS-ACO1, pCS-ACO2)をクローニングし, 塩基配列を決定した.クローニングしたすべてのACC合成酵素およびACC酸化酵素のcDNAには他の植物で既に報告されている保存領域が存在した.ACC合成酵素とACC酸化酵素のcDNAクローンのうち, pCS-ACS1, pCS-ACS3, およびpCS-ACO1は既報の他のウリ科植物の遺伝子の塩基配列ならびにアミノ酸配列と高い相同性を示した.ノーザンブロット分析の結果, 傷害処理では主にCS-ACS1とCS-ACO1 mRNAの蓄積が, オーキシン処理ではすべてのACC合成酵素遺伝子とCS-ACO1の発現が誘導され, それらの発現パターンはエチレン生成とほぼ一致した.CS-ACO2は傷害およびオーキシン処理で一定の発現を示した.これらの遺伝子の発現パターンと配列の相同性からCS-ACS1は傷害誘導型, CS-ACS3はオーキシン誘導型であると考えられた.以上の結果より, キュウリ果実では傷害またはオーキシン処理によってこれらの遺伝子が特異的に発現し, 転写レベルでエチレン生合成の調節に関与していることが強く示唆された.