ナフタレン酢酸,ベンジ-ルアデニン及び明・暗条件が試験管内でのヒメサユリ(Lilium rubellum Baker)の子球の発達と圃場における子球の出葉に及ぼす影響
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概要
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ヒメサユリ(Lilium rubellum Baker)の子球の発達を試験管内で促進するため,葉切片に形成された子球(第1次子球)を外植体から分離し,それらをNAAとBAを種々の濃度で含有する修正MS-基本培地(12)の明条件及び暗条件で培養した. 1.NAAは単独では0.1mg/lのみが第1次子球の生長を促進した. 2.0.1または1mg/lのNAAを含む培地に0.001mg/lのBAを添加すると第1次子球の生長は一層促進されたが,0.1mg/lのBAは子球の生長を抑えた. 3.第1次子球は新たに子球(第2次子球)を形成し,0.01mg/l以上のNAAと0.01mg/l以下のBAを含む培地で第2次子球がよく形成された. 4.0.1mg/l以上のNAAは第1次子球の発根を促進したが,BAは発根を抑え,特に0.1mg/lのBAは,発根をほとんど完全に抑えた. 5.第1次子球の生長,発根及び第2次子球の形成は全般的に暗条件よりも明条件で促進された. 6.NAA及びBAを種々の濃度で含有する培地の明条件と暗条件で培養した第1次子球を,低温処理(3℃,60日間)したのち圃場に植えた場合,明条件で培養した子球の出葉が暗条件のものより全般的にすぐれていた.培地に添加した生長物質は圃場での子球の出葉に抑制的に作用する場合が多く,特に0.1mg/lのBAといずれの濃度でのNAAを含む培地の暗条件で培養した子球の出葉は著しく抑制された. 7.本研究の結果から,ヒメサユリの第1次子球は,0.1mg/lのNAAと0.001mg/lのBAを含有するMS-基本培地の明条件で培養するとよいことわかった.To promote the development ofbulblets formed from leaf segments of lilium rubellum Baker, the bulblets were excised and subcultured in a modified Murashige and Skoog medium (12) (a basal medium) supplemented with different concentrations ofα-naphthaleneacetic acid (NAA) and 6-benzylaminopurine(BA), alone or in combination, both in diffused light at 150-300lx and in continuous darkness. In addition, the leaf emergence from the bulbs obtained by subculture was examined in the field. 1. NAA was the major factor in increasing fresh weight and root numbers of excised-bulbs. The optimum concentration was 0.1mg/l when NAA alone was added to the basal medium. 2. Effects of BA on the development of excised-bulbs varied with the concentrations of NAA added to the basal medium. BA at concentrations of 0.001mg/l synergistically increased the fresh weight of the excised-bulbs. In addition, excised-bulbs formed new adventitious bulblets when they were cultured in the basal medium supplemented with more than 0.01mg/l NAA and less than 0.1mg/l BA. However, the addition of 0.1mg/l BA in combination with NAA at any concentration added to the basal medium repressed the development of excised-bulbs and the formation of bulblets. 3. When the excised-bulbs were cultured in diffused light in the medium containing 1mg/l NAA and 0.1mg/l BA, the highest increase in fresh weight of the bulbs occurred, but these concentrations of the growth regulators caused the aberrant growth of the bulbs. Thus, the bulbscales scarcely grew and the basal part of the bulbs(disc) enlarged abnormally. 4. Rooting of excised-bulbs was enhanced by the addition of only NAA at concentrations of 0.1 or 1mg/l to the basal medium. However, BA at any concentration lessened the rooting of excised-bulbs and at 0.1mg/l, almost completely inhibited rooting when combined with NAA at any concentration. 5. Increases in fresh weight, rooting and adventitious bulblets were generally superior in the excised-bulbs which had been cultured in diffused light when compared to those cultured in darkness. 6. The leaf emergence in the field was more excellent in the bulbs subcultured in diffused light than in the bulbs subcultured in darkness. NAA and BA supplemented in the subculture had scarcely any effect on the leaf emergence from the bulbs in the field. In some cases the addition of NAA and BA suppressed the leaf emergence, and the suppression was quite noticeable in the bulbs subcultured in darkness in medium including 0.1mg/l BA and NAA at any concentration. It can be concluded from these results that the extreme development of bulbs excised from leaf segments of L. rubellum Baker was performed by subculturring the excised-bulbs in diffused light in a modified Murashige and Skoog medium supplemented with 0.1mg/l NAA and 0.001mg/l BA.
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