促成ナスのつやなし果, 赤果発生要因について
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概要
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これまでの報告では, つやなし果の発生原因は土壌の乾燥であると言われている. しかしながら, 現地での発生形態から, 必ずしも一要因では説明しがたい.本報告では, 温度, 土壌水分, 整枝法, 着果剤の濃度など, 各種要因を組合わせてつやなし果, 赤果発生の相互関係について検討した.結果から, つやなし果の発生は特に温度要因が主因であると判断された. すなわち, 昼夜の高温はつやなし果の発生を助長する. もっとも, これまでの知見と同様に,土壌水分が不足するとつやなし果の発生は多い. 昼夜高温区では, 各区のつやなし果発生率の平均は82.1%であるが, 昼夜いずれかの温度を低くした場合では平均61.8%レベルであった. また, 土壌水分については, 多灌水区の発生は平均59.2%であるが, 少灌水区では平均で78.2%となった. 分散分析の結果では, これら2要因は1%レベルで非常に有意であり, さらにホルモンのファクターについても5%レベルで有意差が認められた. また, 温度と土壌水分, 温度と整枝法, 温度と土壌水分と整枝法など要因間の交互作用も認められた. さらに, つやなし果の発生は, 開花から収穫までの日数 (肥大日数)を経るにしたがって多くなる. これは大きい果実ほどつやなし果になり易いと言える. また, つやなし果のつやなし程度では, 土壌水分とホルモンの寄与度は高い.また, 同時に赤果の発生について興味ある結果を得たが, 当試験から主要な要因は整枝法であると結論された. すなわち, 無摘心, 無摘葉区での発生は15.1%であるのに反し, 摘心, 摘葉区では平均で4.1%であった.一方, 他要因との関係については温度と土壌水分が影響し, 昼夜高温区での赤果の発生は平均15.2%であるが,昼か夜のいずれかの温度が低い場合はそれぞれ5.5%,7.7%であった. しかしながら土壌水分についてはつやなし果の場合と異なり, 逆に, 多灌水区での発生が多い. すなわち, 多灌水区での平均発生率は11.6%, 少灌水区では6.4%となった.
- 園藝學會の論文