低温による光合成と葉の生長抑制のキュウリ実生での品種間差異
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
キュウリ(Cucumis sativus L.)の低温伸長性の品種間差異を明らかにするため, 25°Cで生育させた20品種の実生に対して, 4°Cまたは7°Cで2日間の低温処理を行い, 光合成速度と葉面積の変化を検討した.光合成速度は7°C処理に比べ4°C処理でより速く低下し, また処理時間が長くなるほどその低下は大きかった. 低温処理による光合成の低下は夏系品種に比べて春系品種 (相模半白, 北極2号, 王金女神2号を除く)で小さかった.見かけの葉面積(縦×横)の増大は低温処理により止まり, 温度を20°Cに上げても元の生長速度まで回復しなかった. 低温処理後の見かけの葉面積の増大は7°C処理に比べて4°C処理でより抑制され, また苗齢や葉齢の若いほど抑制が大きかった. 低温処理による見かけの葉面積の増大の抑制は夏系品種に比べ春系品種で小さかった.低温処理による光合成の抑制と見かけの葉面積の増大の抑制は, いろいろな低温処理条件や品種間において,それぞれr=0.864*とr=0.763***の相関が認められた.以上の結果, キュウリ実生の低温伸長性は光合成および葉の生長に対する低温の抑制作用の大きさを指標として検定できることが明らかになった.
- 園芸学会の論文