甘藷苗處理の研究 : 特に石灰の効果に就て
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概要
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この3ケ年の試驗以外にも種々なる角度より試驗を反覆して行つた結果, 或は大規模な實際家の立場から行はせた試驗でも石灰處理が他の生長素より優ると言ふ事實が明となつた。その結果の結論を擧げると次の通りである。1. 石灰水液は1%以下が良好であること, それ以上は硬化し過ぎて發根機能を弱化する。2. 石灰は酸化石灰(CaO)を最上とし, 消石灰(Ca(OH)2)は之に次ぐ, 炭酸石灰(CaCO2)は非水溶性であるから効果がない。3. 處理時間は短時間でも無處理區より効果はあるが, 適當な時間は12時間〜24時間である。4. 浸漬時間は柔かい苗は長く, 出來得れば葉が硬化してくる迄おくのがよく, 硬い苗は短時間でよい。5. 若し處理後何等かの理由にて苗の下端が蒸れを生じてゐる場合は, その場所のみ剪除して植付けるとよい。6. 石灰水液は沈澱した部分を除き上澄液のみ使用するのがよい。7. 處理したものは苗が硬化してくるから取り扱に注意すること。8. 浸漬時間が濟んでも植付けられない場合は液より上げて冷暗な場所に束にすることなく並べておくとよい。9. 處理する場合は束 (小束20本〜30本まとめて) にしてもよいし, バラにしたまゝでもよいが切口を揃へて處理すること。石灰水處理したものは苗の枯死が極めて少なくなるし, 又日燒に對する抵抗が強まつてくる關係上乾燥勝ちな時にも植付けられて便利である。尚活着が早く塊根形成化も早期且つ肥大度も強まるので遲挿しにも石灰處理すると効果的である。尚柔かい苗は一般に挿苗の時に枯死する率が高いが石灰處理するとそれを防止する。又地下部の發達が大になるため肥沃地の蔓ボキする樣な土壤に植付けても比較的蔓ボキを防止する特徴がある。實際に石灰水處理するには酸化石灰 Cao を1斗の水に50匁溶解して處理すればよい。尚附言しておきたいことは石灰處理が効果あるとしても一つの手段であるから實際行ふ場合には種々なる特殊環境を見こして適切な方法 (施肥, 手入) を行ふべきである。石灰處理は甘藷苗處理の他凡ての植物の挿木, 接木等に効果があるようである。
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