早生温州の砧木種類比較試驗成績
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概要
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以上結果の範圍より考ふるに1. 早生温州の砧木として切接繁殖する場合は, レモン, 金柑, 小蜜柑は利用價値少く, 夏柑, 橙も良好とは認め難く, 枳殼, ラクス, 柚をよしとすべし。而して此の三種も, 各々特長ありて土壤の状態, 其他に應じて, 其の特性を利用すべきものとす。即ち2. 枳殼砧は, 果實の味濃厚にして, 甘味大なる特長を有すれども, 樹の發育不良, 收量も少く亦淺根性のため結實中に, 裂果, 日焼の害を受け易きものと推定す。3. ラスクは樹の發育良好にして收量多く, 果實大型, 着色亦早く, 味も可良なる特長を有し, 最も早生温州の砧木として最も有望と認め得るが, 根が枳殼と同樣に大部分割合淺く存在し居る事は裂果と日焼の害を心配するものにして, 亦地上部に比し地下部の少き事, 根群が網状をなさず, 粗なる事, 根の彈力の乏しき事を併せ考ふれば風害に弱きものなるべし。4. 柚は本調査の範圍内に於て, 成績最も不良にして, 樹の發育惡く, 收量少く, 果實小型にて, 着色晩く, 酸味強く尚淡白なる, 總ての缺點を有し推奬し得べき砧木に非ず。而し地上部と地下部との割合より考へ, 地下部の甚しく多きは, 將來の大發育を約束するものか, 筆者の推定では15-20年を經過せば發育收量は是正され, 案外の好結果を現はすものと想像す。尚亦地下部の頑丈なると幹の太き點を考ふれば, 耐風力と耐旱力は相當強大なるものならむ。要するに本種は切接用に供せず, 寄接即ち根接に用ふるを合理的とす。
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