サロマ湖の湖岸・湖底地形と完新世後半のオホーツク海の海水準変動
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概要
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完新世における海水準の微変動については, その後の海水準の変動とそれに伴う地形変化によって, 旧海水準を示す証拠が消されたり重なったりして, 一般の海岸低地では詳細な検討が困難であると考えられる。とくに, 海退現象については, それを裏付ける堆積物や地形的証拠が現海水準以下に存在することから, いっそう検出がむずかしい。そこで筆者は, 完新世の海水準変動の影響を受け, しかし波浪や潮汐による地形変化が小さいと考えられる海跡湖において, 湖水準変動の証拠を検出し, それから海水準の微変動を推定しようと考えた。今回は, 地殻変動の影響が少ないと思われるオホーツク海沿岸のサロマ湖及びその周辺地域を対象とした。その結果, (1) 約4,500年前以前に, 標高2.5〜3.5mの高位湖水準, (2) 約4,500年前 (縄文時代中期頃) に, 標高-0.5rnの低位湖水準, (3) 約950年前頃 (平安時代中〜後期) に, 標高2.1〜2.6mの高位湖水準, (4) 約300年前 (江戸時代前期) に, 標高-0.15m以下の低位湖水準の証拠を得た。そして, これらの証拠と従来の研究報告とを合わせ, オホーツク海沿岸における完新世後半の海水準変動について考察した。
- 東北地理学会の論文