馬淵川上流部の段丘地形
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概要
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馬淵川上流部の段丘について, 流域に分布するテフラとの関係から形成期の推定を行い, さらに北上山地北部に発達する山麓緩斜面との関係を検討した。対象地域の段丘は, 一戸付近において高位から, 高位面, I面, II面, III面群の少なくとも4面に区分され, II面およびIII面群は, 段丘の発達が悪い北上山地北部の古生層地域にも分布する。II面の段丘礫層最上部からは岩手火山起源の生出黒色火山灰 (OBA, 3.3-3.4万年前) が見い出され, また, III面群の一部は八戸浮石 (Hp, 1.3万年前頃) に覆われることがわかった。したがって, II面は3万数千年前頃に, III面群は1.3万年前前後の時期にそれぞれ離水したものと考えられる。II面は形態的には最終氷期後半に形成されたとみられる山麓緩斜面に連続的であるが, 堆積物の観察結果や北上山地北部の緩斜面形成期に関する従来の知見から, 山麓緩斜面堆積物の下部はII面の礫層と指交関係にあるが, 上部はII面の礫層を覆っていると推定される。
- 東北地理学会の論文